筋膜性疼痛症候群・トリガーポイントとは
肩こりや腰痛などの慢性的な痛みのみならず
さまざまな分野で原因不明とされてきた症状が
『Fascia:ファシア(筋膜など)の異常』に起因する可能性が世界で注目されています。
『Fascia:ファシア』とは
すべての臓器、筋肉、骨、神経を取り囲み、互いをつなぎ合わせている組織。その中に筋膜が含まれます。
『筋膜性疼痛症候群』 は『痛み』を主な症状とする 世界でもっとも一般的な疼痛症候群 です。
Fascia:ファシア(筋膜、腱、靭帯、脂肪、皮膚など)に形成された『トリガーポイント:過敏化した受容器』が
交感神経の働きと相まって『疼くような痛みやコリ感、手足のしびれなど』さまざまな症状を引き起こします。
痛みの発信現場『トリガーポイント:過敏化した受容器』
トリガーポイントは、最新の定義では『過敏化した受容器(じゅようき)』とされています。
『受容器』とは、からだの至る所に備わっている『痛み信号を脳に発信するセンサー』です。
『過敏化』とは、通常では反応しない刺激に対しても、反応しやすくなっている状態です。
※ この痛みセンサーは、脳や脊髄、関節の軟骨や椎間板、髪や爪などにはありません。
トリガーとは『引き金』という意味で
トリガーポイント(引き金点)が存在する場所から離れた部位に
痛みやしびれなどの症状を放つことから『トリガーポイント』と呼ばれています。
患者さんは トリガーポイント(原因)による影響(痛みやしびれや可動制限など)を症状(結果)として感じている ので
トリガーポイントが存在する場所を認識することはありません。
日頃の精神的または身体的なストレス、不慣れな動きなどがトリガーポイントを瞬時に活性化して症状を自覚させます。
筋膜性疼痛症候群の症状は日によって程度が変わることがありますが、適切な処置をほどこさない限り何ヶ月から何年も存在し続けます。
日常生活でくりかえされる身体的または精神的なストレス、加齢、食事、運動の過不足、カフェイン、お薬、喫煙などのさまざまな影響をうけて慢性化していきます。
筋膜のトラブルは下のイラストのように、からだのどの部分にもおこります。
慢性化していくとしだいにその箇所は増え、痛む範囲も広がっていきます。
※ Many trigger points seem to reinforce each other : the more there are, the faster they all get worse, and the harder it is to deal with any of them.
「多くのトリガーポイントは互いに強化し合っているように見えます
このポイントは代表的なもので
発生する部位は100箇所くらいあると言われています。
左肩から背中(肩甲骨内側)の痛み
初検時(左)
トリガーポイントが潜んでいる肩から背中が浮腫んで盛り上がっています。
痛み以外にも、下のイラストにあるような 抑うつ・疲労感・睡眠障害・めまい・耳鳴り・息苦しさ・動悸・下痢・便秘・吐き気などの胃腸の不調・頭痛・肩こり・手足のしびれ・腰痛・背中のはり などの 自律神経症状 をともなうことが多く、じつに多様で枚挙のいとまがありません。
心的なストレスをトリガーとして現れうる
主な『心身反応』
※ People who suffer from excessive muscle pain often have a medical history littered with other conditions that are caused or particularly sensitive to stress (e.g. ulcers, panic attacks, insomnia, irritable bowel syndrome, etc).
「筋肉の痛みに悩まされている人は、病歴の中にストレスが原因となっているものや、ストレスに敏感なものが含まれていることが多いです。(例:潰瘍、パニック障害、不眠症、過敏性腸症候群など)」(筋肉の痛みとは、筋膜性疼痛症候群のことです)
筋膜性疼痛症候群になると 立つ・歩く・休む(睡眠時)といった日常の基本的な動作に支障をきたします。
症状がすすむと仕事にも影響をあたえ、趣味も楽しめなくなり、せっかくの老後が台なしになってしまう方もいます。
筋膜性疼痛症候群は『Myofascial Pain Syndrome(MPS)』といいます
これは、1982年にアメリカで発表された『筋膜の医学』です。
ケネディ大統領の主治医であった Janet G.Travell 医師(1901〜1997)と David G.Simons 医師(1922〜2010)の2人のアメリカ人医師によって提唱されました。
日本における現代医学にこの『筋膜の医学』は存在しないので、一般の病院では理解してもらうことがむずかしい病態です。
※ “Myofascial pain syndrome” was first thoroughly studied by Drs. Janet Travell and David Simons. In their explanation of MPS, physical stresses and/or emotional stress triggers a vicious cycle, a trigger is basically a tiny cramp or spasm: a patch of muscle clenches, choking off its own blood supply, resulting in oxygen and nutrient deprivation and stagnant tissue fluids that irritate sensory nerves and perpetuate the cycle.
「『筋膜性疼痛症候群』は、ジャネット・トラベル博士とデビッド・サイモンズ博士によって初めて徹底的に研究されました。博士たちの説明では、身体的ストレスや精神的ストレスが悪循環を引き起こすとしています。トリガーとは、基本的には小さな痙攣やスパズムのことで、筋肉の一部分が固まることです。血液の流れが妨げられることで酸素や栄養分が不足し、組織液が滞って知覚神経を刺激するというサイクル(悪循環)が繰り返されます。」
※ One of the simplest ways to diagnose trigger points is just by elimination : if there is no obvious trauma, then trigger points are more likely to be involved. Obviously there are other possibilities.
「トリガーポイントを診断する最も簡単な方法の一つは、
※他の可能性とは:外傷以外の悪性腫瘍・リウマチ・帯状疱疹による痛み(神経痛)・感染症・痛風・偽痛風 などの炎症性疾患です。
トリガーポイントは『生茹でのマカロニ』
トリガーポイントはレントゲンやCT・MRIなどには写らないので、高価な設備による検査は必要ありません。
トリガーポイントを見つけるには、患者さんのからだに触れる(触診)以外に方法はないですが、施術者の誰もが見つけられるものではありません。
皮膚の上からトリガーポイントを触れると「生茹でのマカロニ」のような触感です。
その大きさは大小さまざまですが、筋膜が癒着をおこした影響によりリンパや静脈の流れが渋滞しているため、その周囲はむくんでいます。
グイグイと強く押せば消えてしまいそうですが、押せば押すほど過敏になり、さらに痛くなってしまうので、力任せの強い刺激は禁物です。
※ レントゲンやMRIなどの画像検査は、あなたの症状が、骨折や脱臼、あるいは深刻な病気(癌や感染症、内臓疾患やリウマチなどの炎症性の疾患)などからおこっていないかを調べる(除外診断する)ためのとても大事な検査ですが、それ以上ではありません。
※は https://www.painscience.com より引用
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