そよ風 note
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側弯症について +α
先日、お子さんの側弯症について、施術のお問い合わせがありました。
せっかくお問い合わせいただいたのですが、側弯症については、私がお役に立てることではないため、そのことをご説明したうえで、施術はお断りさせていただきました。
学校健診などで「側弯症の疑いがあります」と言われると「整体で姿勢を整えたら良くなるのでは?」「背骨の歪みを矯正すればまっすぐになるのでは?」と考える保護者の方もいらっしゃると思います。
子どもの側弯症についてインターネットで調べると、整骨や整体・カイロプラクティックの中には「側弯症を改善する」「進行を食い止める」「背骨のねじれを整える」といった内容を掲げているところもありますので、そう考えてしまうのも無理はないと思います。
中には「背骨を指で押して正常な位置に戻す」「気の流れを整えて側弯を改善する」などもあるのですから。
◾️側弯症とは
側弯症とは、さまざまな原因で背骨が弯曲してしまう病気です。
側弯症にはいくつか種類がありますが、その中で最も多いのが「思春期特発性側弯症」です。
10歳以降の成長期に発症し、女子に多く、身体の成長とともに側弯が進行する可能性がありますが、必ず進行するわけではありません。
ですが、学校健診などで側弯症を指摘された場合は、側弯の種類や程度を正確に評価するためにはレントゲン検査が必要ですので、必ず 整形外科 を受診してください。
◾️整骨や整体・カイロプラクティックで側弯は矯正できるのか?
国立病院機構 村山医療センター・整形外科では、正確な診断にはレントゲン検査が必要であり、運動療法、マッサージ、整体、カイロプラクティックには、側弯の矯正効果はなく、その有効性は科学的に確認されていない と説明しています。
また、側弯症の治療として行われる装具療法についても、背骨をまっすぐに戻すことが目的ではなく、成長期に側弯が進行することを防ぐために行う治療とされています。
脊柱変形を専門とする国際学会である Scoliosis Resarch Society(SRS:側弯症研究学会)も、カイロプラクティックなどの代替療法について、側弯の進行を防ぐ科学的効果は示されていない としています。
医療機関での装具療法でさえ、基本的な目的は「背骨をまっすぐにする」ことではなく「成長期の進行を抑える」ことなのです。
Scoliosis Resarch Society(SRS:側弯症研究学会)
◾️厚生労働省も言及しています
厚生労働省は、1991年(平成3年)の「医業類似行為に対する取扱いについて」という通知の中で、カイロプラクティック療法について注意を促しています。
そこでは、側弯症を含むいくつかの疾患について、明確な診断がなされている場合には「カイロプラクティック療法の対象とすることは適当ではない」としています。
この通知は、徒手療法によって症状を悪化させる可能性がある疾患について、安全性の観点からカイロプラクティック療法の対象とすることは適当ではない、と示したものです。
「医業類似行為に対する取扱いについて」(いわゆるカイロプラクティック療法に対する取扱いについて)
側弯症は、整骨や整体・カイロプラクティックなどがいう単純な「姿勢の歪み」ではありません。
側弯症の診断と評価にはレントゲン検査が欠かせませんが、そもそも、レントゲンを撮ることができない施術者が「側弯症を改善します」という話です。
最も肝心な「改善」は、レントゲンなしでどのように判断するのでしょう。
また、人の手によって背骨をまっすぐに矯正することも不可能です。
上記の理由から、施術室しまだでは、側弯症に対する施術や背骨をまっすぐにすることを目的とした背骨矯正などは行っておりません。
成長期の子どもの身体、そして背骨は、これからまだまだ成長していきます。
側弯症では、身体の成長に伴って側弯がどの程度進行しているのかを定期的に観察する必要がありますので、医師による経過観察が不可欠です。
◾️+α
私は、これまでにさまざまな施術者に出会ってきました。
そのほとんどは、患者さんと真摯に向き合う施術家ばかりですが、中にはこのような考え方の施術者もいました。
「側弯症では ◯なないですから・・・」
言い換えれば「側弯症は命に直接関わることはないので、(効果や根拠はさておき)施術します」ということです。
まして、側弯症は長期間の経過観察が必要になるため、効果や根拠が曖昧な施術であっても「しばらく通ってください」「継続した矯正が必要です」と説明すれば、長期にわたる施術につなげることができる(おいしい患者)ということです。
中にはこのような 施術屋 がいることも知っておいてください。(側弯症に限ったことではありません)
『 頭 ・顔・首 』 のトリガーポイントケア
頭や顔や首にも多くの筋肉が存在し、さまざまな要因によってトリガーポイントが形成・維持されることがあります。
トリガーポイントは局所の痛みだけでなく、離れた部位への関連痛や筋肉の張りなど、さまざまな症状の原因になることがあります。
また、筋肉の緊張が持続することで局所の循環にも影響が及び、むくみが現れることもあります。
◾️頭・顔・首のトリガーポイントが形成・維持される要因
・食いしばり・歯ぎしり
・精神的なストレス(怒り・悲しみ・不安)
・仕事や勉強、細かな作業など、何かに集中している時
・睡眠不足
・疲労
などが挙げられます。
食いしばりや歯ぎしりでは、食べ物を噛む働きを担う 咀嚼筋(咬筋・側頭筋・内側翼突筋)に大きな負担がかかります。
筋電図を用いた研究では、精神的なストレスだけでなく、仕事や勉強、細かな作業など、何かに集中している時にも咬筋の筋活動が増加することが報告されていますが、私自身も含め、多くの方は食いしばっている自覚がありません。
咀嚼筋は表情筋(顔の筋肉)や頭・首の筋肉とも筋膜を介して連続しているため、その緊張は頭・顔・首へと広がることがあります。
そのため、首や肩だけに施術を行っても十分な改善が得られずに、頭痛や肩こりなどの不快症状が続いている方も少なくありません。
顔や頭皮も含めて施術することで「頭痛が軽減した」「首や肩が軽くなった」「首が動きやすくなった」といった感想をいただくことがあります。
また、顔の筋肉の緊張が和らぎ、局所の循環が変化し、水分の移動が生じた結果、「顔(フェイスライン)がスッキリした」「目が開きやすくなった」といった感想をいただくこともあります。
「怒り・悲しみ・不安」といった感情は、精神的なストレスを受けた時に現れる反応です。
この喜怒哀楽を表す 表情筋 は20種類以上あり、その多くが 皮膚に付着することで表情をつくる 特殊な筋肉です。
そのため、これらの筋肉が緊張すると、眉間にしわが寄る、口元がこわばるなど表情に変化が現れます。
◾️トリガーポイントが形成されやすい筋肉と起こりやすい症状
・朝起きると顎(頬)が疲れている
・顎関節症に伴う、口の開けづらさや開口時の痛み
・側頭筋の緊張による、頭の両側が締め付けられるような頭痛
・胸鎖乳突筋や僧帽筋の緊張による、慢性的な首・肩こり
・顔全体のこわばりやむくみ
・噛むと顎がだるくなってくる
◾️当施術の目的
当施術では、頭・顔・首などに形成されたトリガーポイントにアプローチすることで、日常生活をより快適に過ごしていただくことを目的としています。
一人ひとりの筋・筋膜の状態を評価し、徒手療法とFVT(Focal Vibration Therapy:局所振動刺激)を組み合わせて施術をおこないます。
『頭・顔・首』のトリガーポイントに対する施術は、 2つのメニューをご用意しています。
・『顔』のトリガーポイントケア(オプション):20分・3,000円
※このメニューのみでのご予約はできません。
「しまだの施術(45分)」に追加していただけるオプションです。
顔の筋肉のこわばりなどが気になる方
・『頭・顔・首』のトリガーポイントケア:45分・5,500円
顎関節症(痛み・開口制限)や食いしばり・歯ぎしりによる不調(首肩こりや頭痛)でお困りの方
頭・顔・首のトリガーポイントを含む筋・筋膜の機能障害に対する施術をおこないます。
顎関節症や食いしばり・歯ぎしりと関係の深い、口の中にある 内側翼突筋 にもアプローチします。
ぎっくり腰とトリガーポイント
先日、前日からの「急性腰痛:ぎっくり腰」でお困りの30代の男性が来室されました。
私も、2回ほど(10年前と6年前に)経験していますので、あの痛みとつらさはよくわかります・・・
この写真は施術前、前方にあるベッドに寄りかかりながらイスに座っていただいている状態です。
この「筋肉の強烈な収縮による盛り上がり」と「フラットバック・平らな腰 」は、ぎっくり腰の程度によって強調される、いわば「ぎっくり腰特有」の症状です。
慢性的な腰痛でも同様の現象が起きますが、これだけ広範囲で強烈な筋肉の収縮は、ぎっくり腰の極期(最も症状が激しい時期)でしか見ることはできません。
実際に目の前で見ると、皮膚の緩みがなくなったことによる光の反射(異様な光景)からも、その緊張の強さが伝わってきます。
この男性も、前屈みの姿勢から上体を起こすことができず、前屈みを支えるために手で脚の付け根あたりを押さえ、あの痛みを引き起こさないためにもその姿勢を保っていました。
一見すると◯で囲った「筋肉の盛り上がり」がぎっくり腰の原因に思えるかもしれませんが、この強烈な収縮は「原因」ではなく「結果」なのです。
脳で感じているあの痛みは、この強烈な筋肉の収縮によって生じているのですが、この筋肉がここまで収縮しなければならない理由は、身体前面(前腰部)にある深層筋群(腹直筋や腸骨筋・大腰筋などの腸腰筋)といった「屈筋群(からだを曲げる筋肉)」の持続的な収縮(ロック)にあります。
この収縮によるロックは、車のシートベルトがロックして伸びなくなったような現象です。そのため、上体を起こすことが困難になります。
通常、身体を前に倒す際は、お腹側の筋肉(主動筋)が収縮すると同時に、背中や腰の筋肉(拮抗筋:反対の動きをする筋肉)が緩むことによって、スムーズに動くことができます。
肘や膝の曲げ伸ばしも同様で、一方の筋肉が収縮するともう一方の筋肉は緩む「相反神経支配」というシステムが働いています。
※実は通常の動きでも、反対の動きをする筋肉はブレーキをかけながら耐える「伸張性収縮(引き伸ばされながら収縮する)」という、筋肉にとってはとても過酷な仕事をしています。
ところが、ぎっくり腰の時には「身体は前屈みなのに、背中の筋肉が板みたいに硬くなる(主動筋と拮抗筋が同時に激しく収縮してしまう:共収縮)」という、通常とは異なる現象が起こります。
身体前面の筋肉(腹直筋や腸腰筋など)の持続的な収縮に対して、脳と脊髄がこれ以上の前方への傾きや転倒を防ぐ(バランスを保つ)ために、身体後面(背中の起立筋群や臀部)の筋肉に防御指令を送り、最大強度で引っ張っている『超高圧なコルセット』こそが、ぎっくり腰の本態です。
身体を守るために脳と脊髄が出す指令は、非常に強力なのです。
このような症状に対しては、事前の説明はそこそこにして、とにかく施術を開始します。
この症状を引き起こしていた『活性化したトリガーポイント(訳あり筋)』に対して、30分ほど施術した結果です。
トリガーポイントが不活性化し、脳と脊髄からの防御指令が解除されたことで、筋肉の強烈な収縮も弛緩しました。前方のベッドに寄りかかることもなく座れています。
施術中は、それなりの痛みに耐えていただくことになりましたが、無事にリリースすることができました。
この男性の急性腰痛は、トリガーポイントによるぎっくり腰でしたが、『急に腰(背中)が痛くなった:急性腰痛』= 『トリガーポイントによるぎっくり腰』とは限りません。
特に、痛みの訴えが非常に強いにも関わらず、この男性のような典型的な防衛的筋収縮や姿勢変化が乏しい場合や、安静時痛(じっとしていても痛い、楽になる姿勢がない)・ 夜間痛(痛くて眠れない)がある場合には、背骨の圧迫骨折や悪性腫瘍、血管疾患などの可能性も考慮する必要があります。
トリガーポイントによるぎっくり腰では「この姿勢なら楽」という、逃げ場があります。
起き上がりや寝返りが地獄のようにつらくても、逃げ場がないことは一般的ではありません。
「危ない腰痛」
https://kinji-shimada.com/diary/141609
「膀胱がんによる腰痛」
顎の痛みとトリガーポイント
先日、3日前から「右顎の痛み」と「口が開けられない(開口制限)」という症状でお困りの50代の女性が来室されました。
撮影および掲載の許可をいただきましたので、施術前後の様子をご紹介します。
施術前に開口の程度を確認すると、口は指1本分しか開きませんでした。
3日前、お弁当の「とんかつ」を食べようとしたところ、顎の痛みとともに口が開かずに落としてしまったとのこと… その後もまともに食事ができない状態が続いたそうです。
顎の痛みと開口制限(顎関節症)に関わる筋はいくつかありますが、その中でもメインのターゲットになるのは、口の中にある「内側翼突筋(ないそくよくとつきん)」です。
施術前に、トリガーポイント大辞典で内側翼突筋の位置や形などをお見せしながら「少々痛みを伴う施術になると思います」と説明し、施術を開始しました。
私の触診では、内側翼突筋のトリガーポイントは3箇所に見つかることが多く、この女性もそれぞれに緊張と圧痛の強さを確認しました。
一方、左側には明らかな緊張と圧痛はなく、ご本人も左右の状態の違いをはっきり感じられたようでした。
やはり、最初のアプローチでは強い痛みを伴ったようですが、ピンサーテクニック(トリガーポイントを指で挟み込んで持続的に圧迫する手技)によるアプローチを3回ほど繰り返すと、指3本まで痛みなく開口できるようになりました。
女性はとても驚いた様子で、目も大きく開いていました。
改善に要した時間は10分ほどでしたが、この症状に関連していると思われる顔・頭・首周囲のトリガーポイントにもアプローチして施術を終了しました。
翌日と1週間後には「痛みなく口を開けられて、ご飯も食べられている」「顎関節症だったことも忘れて痛かったのが嘘のよう」とのご報告をいただき、私も安心しました。
ちなみに「内側翼突筋」の「翼突(よくとつ)」という名称は、頭蓋骨の一部である 蝶形骨(ちょうけいこつ)の「翼状突起(よくじょうとっき)」に由来しています。
この筋肉が付着している骨の突起が、蝶の羽のような形をしていることから名付けられたそうです。
口の奥に存在する、長さ 4〜5cm・幅 2〜3cm・厚さ 1cmほど の小さな筋肉に発生したトリガーポイントが、顎の痛みと開口制限に深く関わっているのです。
トリガーポイントによる痛みは「炎症」を伴うものではありませんが、「延焼(慢性化)」する前に「消火(鎮静化)」することで早期の改善が期待できます。
トリガーポイントの歴史 (概要版)
▶︎ 詳細版
「肩が痛い」「腰が痛い」という症状は、何千年も前から人類とともにありました。
古代エジプトの医療文書やヒポクラテスの記録にも、手足や腰の痛みについての記録が残されています。
19世紀になると「筋肉の中に押すと硬くて痛い場所がある」ということが報告され始めます。
さらに「痛みは必ずしも、痛む部位そのものに原因があるとは限らない」という関連痛の考え方も整理されていきました。
20世紀半ば、トリガーポイントの中心人物であるアメリカのトラベル医師 は、ある現象に注目します。
・筋肉の一点を押すと、離れた場所に痛み(関連痛)が出ること
・その一点を治療すると、離れた痛み(関連痛)が消えること
ここから「トリガーポイント:痛みの引き金となる点」という概念が生まれました。
トリガーポイントとは
トリガーポイントは主に3つに分類されます。
・Active(活動性):何もしていなくても痛みを生じるトリガーポイント
・Latent(潜在性):普段は痛くなくても、圧迫すると痛みを生じるトリガーポイント
・Satellite(衛星):他のトリガーポイントの影響で生まれたトリガーポイント
近年わかってきたこと
2000年代以降の研究により、トリガーポイントは「単なるコリ」ではなく「筋肉が収縮したまま、弛緩できなくなっている状態」と考えられるようになりました。
筋肉は本来、縮んだり、弛んだりを繰り返しています。
しかし、何らかの要因で「縮んだまま戻れなくなる(シートベルトがロックしたような状態)」と、局所の血流が悪くなり、痛みが生じやすくなります。
これが、トリガーポイントの正体だと考えられています。
さらに最近では、痛みは筋・筋膜の問題だけではないことも明らかになってきました。
・神経の興奮
・脳の痛みの感じ方
・無意識の動きのクセ
こうした要素が関与し合い、痛みは形成されます。
痛みが長く続くと、脳や神経が敏感になり、本来であれば痛くない刺激まで痛く感じることもあります。
また、痛みをかばう動きが続くと、別の筋肉に負担がかかり、新たなトリガーポイントを生むことになります。
施術の目的は、筋肉を揉みほぐすことではなく、弛緩できなくなっている状態を解除し、身体が本来の機能とバランスを取り戻せる状態に導くことにあります。










