腰痛(背骨と骨盤)の常識は嘘ばかり・・・
整形外科やペインクリニックの先生方の著書から一部を引用し
その内容にあわせて(私が施術させていただいた患者さんの)レントゲンを供覧しています。
はじめに
近年、『椎間板ヘルニア(頚椎および腰椎)』『脊柱管狭窄症』『分離症やすべり症』『変形性脊椎症』などの 画像上の変化(形態学的または構造的な異常)が、痛みやしびれなどの症状とは必ずしも直結しない(直ちに症状と結びつけることはできない)ことが明らかになってきましたが、わが国の現代医学では(さまざまな事情から・・・)、今でもレントゲンやMRIなどでみられる構造的な異常所見を症状の原因と捉えがちです。
また、『老化や構造といった不可逆的(元の状態には戻らない)変化が、痛みやしびれの原因です』と説明した方が、思うように改善がみられない慢性痛(症状)に対しては説得力のある説明になりますし、治療(手術)や通院に対する理解や同意が得られやすいことも その背景にあるのではないでしょうか。
以下は、そのような説明が(ほぼ)正しくないことを示すもの です。
その1
『診断的価値が必ずしも高くない単純X線写真撮影が、日常診療上、最低限必要な検査のごとく行われているのはなぜだろうか?』菊池臣一編著『腰痛 第2版』より (医学書院 2014)
【どちらの方が 慢性的な腰痛だったと思いますか?】
Aさん(21歳・女性)
Bさん(28歳・男性)
答えは 『 Bさん 』 です。
腰痛の常識から考えるとAさんのように思いますが、腰痛をめぐる常識は嘘ばかり です。
もちろん、腰痛の方で Aさんのように 背骨や骨盤が正面を向いていない 方もいますが『背骨が曲がっている = 腰痛』ではありません。
* 骨盤は歪むことなどありませんが、健常者でも人によって向きや傾きは異なります。
また、『腰痛になってしまったから、背骨がまがっている(無害の結果)』ということもありますが、そのような場合は、腰痛がおさまれば(筋肉の過度な収縮がもとの状態にもどれば)その人なりの もとの位置にもどります。
Aさんは、私の整骨院のスタッフだった方ですが、側弯に対する施術をおこなっていたのではありません。
とてもスタイルのよい方で、見た目では側弯していることもわかりません。
Aさんのレントゲンは、伊藤かよこ先生の「腰が痛い」と思ったら とにかく読む本 (日経BP 2020 / 腰痛読書療法・バーチャル診察室へようこそ p.193)にも掲載されています。
菊池臣一著『腰痛をめぐる常識の嘘』(金原出版 1994)
菊池臣一著『続・腰痛をめぐる常識の嘘』(金原出版 1998)
その2
『単純X線写真は、外来診療で最も用いられている画像である。しかし、単純X線写真は、非特異的腰痛の診断にはほとんど意味がない。』菊池臣一編著『腰痛 第2版』より (医学書院 2014)
【頭痛も肩こりも慢性腰痛もない しまだのレントゲン】
首は典型的なストレートネック
腰は右凸側弯して
骨盤は左右の高さも違う
腰の骨は変形して
椎間板も狭くなっている
レントゲンで見るかぎり、私のからだは 構造異常ばかり ですが、頭痛も肩こりも慢性腰痛もありません。
レントゲン(単純X線)検査は、感染症などを含む脊椎炎、骨折、腫瘍のような重篤な疾患を否定(除外診断)するためにあるので、慢性的な腰痛や頭痛、肩こりなどの診断には ほとんど意味がありません。
その3
『痛い人、痛くない人、1000人のレントゲン写真を撮って専門医に見せたとしても、この人には痛みがある、この人にはない、ということはわかりません。』北原雅樹著『日本の腰痛 誤診確率80%』より (集英社インターナショナル 2018)
【老若男女 人それぞれの腰椎と骨盤】
このレントゲンの中には、腰痛の方も腰痛ではない方もいますが、どなたが腰痛なのかは(ご本人と私以外)誰にもわかりません。
*圧迫骨折の方もいますが、陳旧性の(古い)ものです。
私は、腰痛の方と腰痛ではない方(453名)のレントゲンから、椎間板の変性や背骨の傾きなどは、腰痛という症状とまったく直結しない(無害の結果である) ということを学びました。
実は 。。。
腰痛の有無を伝えずにレントゲン(MRI)だけを見せたとしても、その人が腰痛なのか?脚が痺れているのか? はわかりません。
(通常の診察では、あらかじめ患者さんから痛みやしびれなどの症状があることを聞いていますので…)
人間のからだは自然の一部です。
骨の数はみなほぼ同じ(成人で206個くらい)ですが、その一つひとつの形は人それぞれ、微妙に異なります。
個人の左右を比べても対称ではありませんし、筋肉の形や付く位置も微妙に異なります。
※ Irregularity is to be expected in any biological form. Body parts are not interchangeable legos or Ikea furniture pieces made by factory molds. Wonkiness and asymmetry are part of the plan.
「生物の形には不規則性がつきものです。からだの各部位は、工場で作られた互換性のあるレゴやイケアの家具ではありません。曲がりや非対称性は設計の一部です。」
人間は 『左右対称、みな同じ』ではありません。
『骨盤が歪んでいるから。。。』
『どちらかの脚が短いから。。。』
これらは、医学の常識では考えられない トンデモ説 です。
Dr_Koala™ 先生(整形外科医)の『骨盤矯正について』
医師の立場から、医学の常識を書かれています。
ぜひ、ご覧ください。
※ It is difficult to get a therapist to understand that structural abnormality is rarely meaningful when his job depends on ignoring this data and actually emphasizing structure.
「構造的な異常を強調(指摘)することで仕事が成り立っているセラピストに、構造的な異常がほとんど意味をなさないことを理解してもらうのは難しい。」
その4
『MRIの出現により、脊椎の異常診断能力は向上した。只、無症候例に高頻度な形態学的異常も少なくないことも明らかになった。最近では腰痛出現後に撮影されたMRI所見が、腰痛を説明するような新たな所見である可能性は低いことが指摘されている。』菊池臣一編著『腰痛 第2版』より (医学書院 2014)
【慢性腰痛も脚のしびれもない しまだのMRI】
(無症候性ヘルニア)
※ For many years now, MRI scans have been the ultimate in futuristic medicine. But while these machines are miraculous in some ways, they can be worse than useless for diagnosing low back pain.
「MRIは未来の医療と言われて久しい。この機械はある意味では奇跡的なものですが、腰痛の診断には役に立たないこともあります。」
※ Many people with no pain have all kinds of things “wrong” with their backs, and vice versa. Many problems revealed by scans that seem like “obvious” problems are not.And so the diagnosis and treatment often goes spinning off in the wrong direction.
「痛みのない人の中には、脊椎に様々な問題を抱えている人が多く、その逆もまた然りです。スキャンによって明らかになったことの多くは、一見「明らかな」問題のように見えますが、そうではありません。そのため、診断や治療が間違った方向に空回りしてしまうことが多いのです。」
※ There are exceptions — sometimes imaging finds something important — and that’s why these tests can be appropriate for some kinds of severe and persistent low back pain. But it’s just a generally lousy way to try to figure out why your back hurts.
「例外※ もあります。画像診断で重要なことが見つかることもあります。だからこそ、重度で持続的な腰痛にはこれらの検査が適しているのです。しかし、これらの検査は、腰痛の原因を突き止めるには不十分です。」
※「例外」とは、骨折や脱臼、あるいは深刻な病気(癌や感染症、内臓疾患やリウマチなどの炎症性の疾患)のことです。
その5
『椎間板ヘルニアが画像で認められても、それが必ずしも痛みを起こしているわけではないことが明らかになってきているのです。』菊池臣一著『腰痛のナゼとナゾ』より (メディカルトリビューン 2011)
私は、このヘルニアが 腰痛や脚のしびれを引き起こさない ことを理解していますので、この画像を見ても、腰痛の心配をしたり不安になったりすることはありません。
ですが、腰痛や脚のしびれで困っている(この事実を知らない)人が、この画像を見せられて『このヘルニアが、あなたの腰痛(脚のしびれ)の原因です』と説明を受けたら、ほぼすべての人は信じてしまうでしょうし、不安も大きくなり痛みもしびれも増してしまうでしょう。
※ Why is it so important to actually avoid using X-ray and MRI to diagnose back pain?
「なぜ、X線やMRIを使って腰痛を診断することを避けることが大切なのでしょうか?」
※ First, X-rays and MRIs genuinely spook people! And nothing is worse for back pain than fear.
「まず、レントゲンやMRIは人を怖がらせるからです!腰痛にとって、恐怖ほど辛いものはありません。」
※ Second, imaging often just fails to clarify the situation, or it actually muddies the diagnostic waters.
「2つ目は、画像化しても状況が明らかにならなかったり、かえって診断結果が混乱してしまうからです。」
その6
『私は巨大なヘルニアを持っていますが、腰痛とは無縁の生活を送っているのです。私だけ特別に腰痛を起こさないわけではありません。』菊池臣一著『腰痛のナゼとナゾ』より (メディカルトリビューン 2011)
【 腰痛 ー 事実とフィクションを区別する】
Peter O'Sullivan 教授 の動画(日本語字幕版)
Pain-Ed. com より
※ Dr. John Sarno’s career has also been about debunking structuralism in back pain. In 1984, he first wrote :
There is probably no other medical condition which is treated in so many different ways and by such a variety of practitioners as back pain. Though the conclusion may be uncomfortable, the medical community must bear the responsibility for this, for is has been distressingly narrow in its approach to the problem. It has been trapped by a diagnostic bias of ancient vintage and, most uncharacteristically, has uncritically accepted an unproven concept, that structural abnormalities are the cause of back pain.
ジョン・サーノ博士のキャリアは、腰痛の構造主義を否定することでもあり、1984年に博士はこう書いています。
『腰痛ほど、さまざまな方法で、さまざまな医師によって治療されている病気は他にないでしょう。この結論には違和感があるかもしれませんが、その責任は医学界にあると思います。古くからある診断上の偏見に囚われ、最も特徴的なのは「構造的な異常が腰痛の原因である」という証明されていない概念を無批判に受け入れてきたことです。』
痛み以外にもよくある症状として『手または脚のしびれ』がありますが 『しびれ』のほとんどは『神経の圧迫による麻痺・神経障害』による症状ではありません。
脊椎で本当に神経の圧迫が起こった場合は『重篤な麻痺性疾患』となり 緊急手術になることがあります ので、お薬を飲んで理学療法をうけている場合ではありません。
頚椎ヘルニアによる『脊椎性頚髄(けいずい)症』 と 腰椎ヘルニアによる 『馬尾(ばび)症候群』
の2つが重篤な麻痺性疾患にあたりますが きわめてまれな疾患 です。
* 症状や病態などの詳細はリンク先をご覧になってください。万が一このような症状を感じたら、様子を見たり我慢したりせずにすぐに病院を受診してください。
レントゲンやMRIなどの画像検査の結果から『椎間板ヘルニア』『脊柱管狭窄症』『変形性脊椎症』などと診断され、一定期間、投薬(または注射)や理学療法を受けても期待する結果を得ることができないのなら、あなたを悩ませている症状は『筋膜性疼痛症候群』と考えるべきです。
施術室 しまだでは、この『筋膜性疼痛症候群・トリガーポイント』に対する施術を専門的におこなっています。
※ は https://www.painscience.com より引用
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