『筋膜ケア』 の 施術室 しまだ

そよ風 note

2023-10-03 12:00:00

顎関節症とトリガーポイント

 

顎関節症は、程度の差こそあれ、2人に1人は経験すると言われています。

 

私も経験者の1人なので、あの痛みと辛さはよくわかります。

 

顎関節症を引き起こす要因を1つに絞ることはできませんが、噛み合わせの悪さや身体の歪みは含まれないと言われています。

 

近年では、歯ぎしりや食いしばり、心理社会的なストレス、歯科治療での開口保持などが主な要因として挙げられています。

 

現在、顎関節症は以下の4つに分類され、「筋性」と「関節性」の2つに分けることができます。

 

<顎関節症の病態分類(2013)>

1型:咀嚼筋痛障害 「筋性」

2型:顎関節痛障害 「関節性」

3型:顎関節円板障害 「関節性」

4型:変形性顎関節症 「関節性」

※ 重複する場合もあります。

 

この中で、顎関節症の患者さんの多くは、1型:※ 咀嚼筋痛障害(口を大きく開けられない、ご飯を食べるときに痛いなど)です。

 

 咀嚼筋(そしゃくきん)とは:下顎を上下に動かして、あくびをしたり、食べものを噛んだりするときに使う筋肉。

 

①:側頭筋(そくとうきん)

②:咬筋(こうきん)

③:外側翼突筋(がいそくよくとつきん)

④:内側翼突筋(ないそくよくとつきん)

 

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筋膜性疼痛症候群(トリガーポイント)では、咀嚼筋を以下のよう捉えます。

 

① 側頭筋:顎関節症の主要な原因となる筋肉。

 

② 咬筋:重度の開口制限の原因となる筋肉。(身体の中でもっとも強力な筋肉)

 

③ 外側翼突筋:顎関節症を治療する際にとなる筋肉。

 

④ 内側翼突筋:顎関節症を治療するためには必要不可欠な筋肉。

 

※ は、顎の内側(口の中)にあるため触診が困難なことから、治療できる施術者は限られます。

『患者さんが顎の痛みを訴えているときに、内側翼突筋を治療しないのは間違っている』(Neuromuscular Therapy Manual より)

 

しまだでは、① 〜 ④ のすべてのトリガーポイントに治療をおこなうことにより、ほとんどの方が1回の施術で痛みなく開口できるようになります。

 

※ 発症から3ヶ月以上経過(慢性化)している場合、痛みなく開口できるようになっても噛むときに痛みが残るケースがあります。そのときはトリガーポイントのさらなる鎮静化のために継続した施術が必要になります。

 

 

以下の ①と② の症状が、1週間以上続いている方は早めにご相談ください。

 

【顎関節症の症状】

通常、口を大きく開けた場合、ご自身の指(人差し指・中指・薬指)が縦に3本分入ります。

顎関節症になると、指が2本分、またはそれ以下しか入らなくなります。

 

① 顎が痛む

・口の開け閉め、食べ物を噛むときなどに痛む

・硬いものが食べられない

 

② 口を大きく開けられない

・縦に指が2本程度、またはそれ以下しか入らない

・お寿司やおにぎりが食べられない

・大きなあくびができない 

 

※ 口を開け閉めしたときに「カクカク」「ジャリジャリ」といった音がすることがありますが、症状が音だけで痛みを伴わず、指も縦に3本入る場合は治療する必要はないとされています。

 

※ たとえ噛み合わせを治しても、顎関節症が改善するとは限りません。治療費が高額であったり、歯を削ったりする治療法を提示されたときは慎重になったほうがよいでしょう。

 

※『顎関節症の原因は不明ですので、噛み合わせが悪いとか、体のバランスに問題があるとか、いかにも原因治療としている宣伝に安易に惑わされないことを勧めます。』(厚生労働省のe-ヘルスネットより)

 

 

【症例1】

60歳代 女性

10年ぶりに右顎の痛みと開口障害発症

 

主訴:口が大きく開けられない。ご飯を食べるのが痛い。

 

施術前:痛みを伴う開口制限(指が2本まで)

 

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触察の結果、各咀嚼筋(口腔内は右上下部)にトリガーポイントを確認

 

施術後:痛みなく指3本分の開口可能となる

 

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【症例2】

50歳代 女性 

歯科の検診で30分ほど開口を保持した後、左顎の痛みと開口障害発症。

 

担当の歯科医師に相談したところ

「これは治らないので、マウスピースで様子をみましょう」

「最終的には手術になるかもしれません」とのこと。

 

主訴:ご飯を食べるのが痛い。口が大きく開かない。

 

施術前:痛みを伴う開口制限(指が2本以下)

 

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触察の結果、各咀嚼筋(口腔内は左上部)にトリガーポイントを確認

 

施術後:痛みなく指3本分の開口可能となる

 

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 マウスピースも手術も不要になりました。

 

 

顎関節症は、時間の経過とともに自然に改善することもありますが、慢性化してしまうこともあります。

 

マウスピース(スプリント)を装着して数ヶ月経過をみることもあるようですが、慢性化を防ぐためにも1日も早く痛みなく開口できるようになる(トリガーポイントを鎮静化させる)ことが先決です。

 

顎関節症も筋膜性疼痛症候群(トリガーポイント)と捉えて対処すると、多くの患者さんが短期間でよい結果を得ることができます。