『筋膜ケア』 の 施術室 しまだ

そよ風 note

2024-11-23 18:00:00

危ない腰痛 

 

危ない腰痛とは

 

『重篤な疾患によって引き起こされた腰痛』です。

 

 

重篤な疾患とは

 

骨折や悪性腫瘍などの病状がいちじるしく重い

 

『 F A C E T 』と呼ばれる疾患です。

 

   

重篤な疾患『 F A C E T 』と

 

『 F A C E T の存在を示唆するサイン『レッド フラッグ IMG_4061.png  』を

 

以下に示します。

 

 

IMG_3377.jpeg

 

 

 『 F A C E T 』

 

 

F:Fracture|骨折

 

 

A:Aorta|大動脈解離・大動脈瘤破裂

 

 

C:Compression|脊髄圧迫症候群

 

 

E:Epidural abscess|硬膜外膿瘍・椎体炎

 

 

T:Tumor|腫瘍

 

 

 

 

IMG_3377.jpeg

 

  

『 レッド フラッグ 

  

⚫︎ 馬尾(ばび)症候群の兆候  →  C(脊髄圧迫症候群)

 

発症の確率は 0.04%(10,000人に4人)と言われています。

 

この症状の方が私のところに来られたことはありませんが、患者さんのご兄弟が馬尾症候群になったと聞いたことがあります。

 

ー 症状 ー

 

・膀胱直腸障害:「排尿したくても出ない(閉尿)または 自分の意思に反して、大・小便を漏らしてしまうことはありませんか?」

 

・サドル麻痺:「自転車に乗った時にサドルに当たる部分の感覚が麻痺していませんか?」

 

※ 馬尾症候群は上記の神経症状だけで、腰痛(痛み)を伴わないことがあります。

 

※ 馬尾症候群は『医学的緊急事態』ですので、緊急手術になることもあります。

 

 上記の兆候に気付いたら、すぐに病院を受診してください。

 

 

⚫︎ 重大な外傷歴(全年齢が対象) →  F(骨折)

 

高齢(骨粗鬆症)の方は、布団の上で尻餅をつくなどの軽微な外傷でも、背骨を圧迫骨折することがあるので注意が必要です。

 

尻餅をついてしばらく時間が経っても腰や背中の痛みが引かない時は、レントゲン検査を受けてください。

 

 

⚫︎ 安静にしていても軽快しない痛み  →  T(腫瘍) や   E(硬膜外膿瘍・椎体炎)

 

「夜間の絶え間ない痛みや横になっていると痛みが悪化しませんか?」

 

がんや背骨(脊椎)の感染、内臓疾患の疑いもあります。

 

 

⚫︎ 胸背部痛  →  A(大動脈解離・大動脈瘤破裂)

 

「胸(前側)に痛みはありませんか?」

 

大動脈の解離や瘤破裂、狭心症や心筋梗塞の疑いがあります。

 

 

⚫︎ がんの病歴や体重減少、食欲減退  →  T (腫瘍)

 

「以前、がんになったことがありますか?」

 

「食欲はありますか(減っていませんか)?」

 

「体重が減っていませんか?」

 

(運動やダイエットをしていないのに、3ヶ月以内に体重が10%以上減っている)

 

がん(脊椎転移)の可能性もあります。

 

 

⚫︎ 長期間のステロイド剤(主に内服薬)の使用、免疫抑制剤の使用  →  F(骨折) や  E(硬膜外膿瘍・椎体炎)

 

ステロイド剤は骨粗鬆症になりやすいので、「いつの間にか骨折(脊椎圧迫骨折)」を起こす可能性があります。

 

免疫抑制剤は免疫力を抑制する作用があるので、背骨(脊椎)に感染を生じる可能性があります。

 

 

⚫︎ 発熱  →  T(腫瘍)

 

がんの患者さんは70%で発熱する(腫瘍熱)と言われています。

 

毎日、37.8℃以上の発熱がある、発熱が2週間以上続くなど

 

 

⚫︎ 20歳未満 または 55歳以上  →  F A C E T すべて 

 

 

上記のサイン『 レッド フラッグ 』があるときは、すぐに病院を受診してください。

 

 

IMG_3377.jpeg

  

 

 

 ある医師(救急医)のブログには

 

 

 

・安静時痛の有無を重視している

 

 

 

・ F A C E T のうち、A(大動脈解離や瘤)E(腫瘍や椎体炎)であれば、安静時でも痛みがないということは考えにくい

 

 

 

・安静時痛がある、という時点で筋骨格系の痛みと言えない可能性がある、何らかの画像検査をせざるを得ない状況だなと考えます

 

 

と書いてありました。

 

 

 

IMG_3377.jpeg

 

 

 

 膀胱がんによる腰痛 IMG_4061.png

 

 

 

レッドフラッグが認められない時は IMG_4061.png

2024-11-06 20:00:00

FBSS

 

Failed Back Surgery Syndrome :FBSS

 

『脊椎手術後失敗症候群』

  

・腰椎の手術を受けたにもかかわらず、腰痛や下肢痛などの症状が持続する患者を指す言葉で、新たな症状が増し加わることもある。

 

・腰椎手術後の 5~50% に FBSS が発生すると言われている。

 

・FBSS の治療には、複数回の手術が行われることが多い。

 

・腰椎手術は、脊椎に不可逆的な(手術する前の状態には戻れない)変化を与えるために、一度手術が行われてしまうとその影響は持続する。

 

 

IMG_3377.jpeg

 

・2回目の手術では40~50%が改善し、20%は悪化する。

 

・3回目の手術では20~30%に有効であるが、25%は悪化する。

 

・4回目の手術では改善するのは10~20%にとどまり、45%が悪化する。

2024-10-13 18:00:00

腰に電気ビリビリ

 

先日、ギックリ腰になってからなかなか治らずに困っているという

 

前屈み気味の姿勢で右脚の運びがスムーズではない男性が

 

あきる野市から来られた。

 

 

施術前にこれまでの話を伺うと

 

『昔から腰痛持ちで、整形外科の先生からは背骨が変形していると言われている』

 

『整形外科で腰に電気をビリビリあててもらっていた』

 

とのことだった。

 

 

ところが。

 

1ヶ月前のある朝、ギックリ腰になってしまったそうだ。

 

 

今まではたまにしか行かなかった電気ビリビリも

 

早くよくなりたい一心で毎日通ったが

 

期待する結果を得ることはできなかったようだ

 

 

あのギックリ腰から1ヶ月経ったが

 

いまだに

 

・朝、起き上がる時に腰が痛い

 

・椅子から立ち上がる時や車から降りて歩き出す時に腰が痛い

 

・洗顔時(前屈み)やズボンを履く(脚を上げる)時に腰が痛い・脚が上がらない

 

とのことだった。

 

 

IMG_3377.jpeg 

 

 

男性の訴えからトリガーポイントを探索していくと

 

IMG_4278.jpeg

 

◯で囲ってある(トリガーポイントが存在するであろう)部分の緊張と圧痛(飛び上がるほど)がとても強く

 

男性も腰以外がそんなに痛いことに驚いていた。

 

患者さんは『腰が痛い』という症状(結果)しか、わからないからです。

 

 

 

『予想通りの部位に予想通りの緊張と圧痛(トリガーポイント)』

 

 

 

前屈み気味の姿勢で右脚の運びがスムーズではないことが頷けた。

 

この男性の腰痛の原因は

 

『腰が悪い(背骨が変形している)から』ではありません。

 

この男性に対する施術は、3回(週1×3)で終了しました。

 

 

IMG_3377.jpeg

 

 

腰痛でお困りの患者さんに対して

 

効果の有無も確認しないまま

 

いつまでもダラダラと腰に電気ビリビリをあて続けるのは

 

『患者さん(腰痛改善)のために必要だから』ではなく

 

電気ビリビリ以外にやることのない

 

『病院や整骨院のために必要だから』でしょう。

2024-07-21 18:00:00

時間つぶし

 

施術室しまだには

 

整骨院や整形外科医院(理学療法室)などにある

 

牽引装置や電気などはありません。

 

 

ですが

 

 

私が25年前に整骨院を開業した時は、多くの機器を揃えました。

 

 

IMG_3693.jpeg

 

この写真は、開業して1年くらい経った時(2000年12月)の島田整骨院です。

 

(U先生 懐かしい写真をありがとうございました)

 

 

 

私が、整骨院を開業した時に多くの機器を揃えた理由は

 

電気をあてて時間をつぶす + 保険請求のため 

 

でしたが

 

4年後には、物理療法の機器はすべて処分しました。 

 

 

それらの引き取りを

 

医療機器製造販売会社にお願いした

 

担当者(社員)が私に言った言葉です。

 

 

 

 

これから時間つぶしどうするんですか? 』

 

 

 

  

社員ですら、自社の機器を『時間つぶし』思っているのです。

 

 

せめて

 

『うちの機器が無くて、大丈夫なんですか?』

 

くらい言って欲しいなと思ったのを覚えています。

 

 

 

島田整骨院にあった機器が

 

本当に痛みで困っている患者さんのためになるのなら

 

今でもここにもあるはずです。

 

骨盤牽引と同じく

 

治療手段として

 

真に有効であると思っている人は

 

あまりいないのではないでしょうか。 

2024-07-21 18:00:00

牽引療法には効果がない?

 

『腰痛のナゼとナゾ』 菊池臣一著 より

 

牽引療法とは脊椎を上下にひっぱり、腰椎の圧迫を軽くして腰痛を軽減する目的で行われるもので、牽引することで腰部の安静や異常な筋肉緊張の軽減、椎間板内圧の減少などが得られると考えられてきました。

 

現在も、整形外科医院や接骨院などで、脊椎の病気に対する局所の安静などを目的に、日常的な診療プログラムのなかに牽引療法を組み込んでいるところが多くみられます。

 

私も以前は入院患者さんに、治療を受けているという意識を持ってもらうために使用していたことがありました。

 

しかし、外来にこられる患者さんには使用していません。

 

その理由は、15〜20分ほどの牽引療法を受けるために、往復1時間以上もかけて通院するなら、その時間を腰痛の軽減に効果があるとされる日常的な仕事や家事、あるいは運動にあてたほうがよいのではないかと考えたからです。

 

しかし、これだけ普及しているにもかかわらず、牽引療法が腰痛や坐骨神経痛に有効であるという科学的な根拠は報告されていません。

 

逆に、イギリスの腰痛ガイドラインでは「牽引療法に関しては、治療効果がないことが証明されている」と明言しています。

 

さらに、牽引療法を行いながら安静に寝ていると、関節のこわばり、筋肉の萎縮、骨密度の低下などの危険があるので、腰痛の患者さんには用いるべきではないと言及しています。

 

単純に考えても、腰の椎間板の変性によって低くなった身長を元の状態に戻そうとしたり、腰椎の彎曲したカーブの度合いを改善したりするためには相当な力が必要になるでしょう。

 

牽引によりかえって腰痛を悪化させる可能性も否定できません。

 

患者さん本人が牽引後に気持ちよく感じられるのであればよろしいのですが、効果が認められないと実感されたときは、漫然と続けていないで他の療法に切り替えたほうがよいでしょう。

 

***

 

 

腰痛の治療に関与している専門家で、骨盤牽引が治療手段として真に有効であると思っている人は、あまりいないのではないでしょうか。 

 

 

『続・腰痛をめぐる常識のウソ』 菊池臣一著 より

 

1 2 3 4