そよ風 note
膀胱がんによる腰痛
今から8年ほど前(山梨の施術室に)
膀胱がんによる腰痛の患者さん(60歳代の男性)が来られた。
男性は腰が痛いから横になっている・・・ということで
奥様から
『主人の腰痛が(いくつか整形外科に行ったが)よくならないので、なんとかしてほしい』
という連絡があり、すぐに来ていただいた。
入り口では前かがみの姿勢で入って来られ
施術室では膝に両手をついたまま
座っているのも辛そうで
顔の汗が止まらなかった。
まさかと思いながらも話を伺うと
体重も落ちて食欲もない
夜も痛くて眠れないとのことだった。
(奥様から連絡をいただいた時に確認しなかったことを後悔する)
まさに『 レッド フラッグ 』です。
この腰痛は、私が施術することができない原因である可能性が高いので
すぐに総合病院へ行ってくださいと話し帰宅していただいた。
後日、奥様から
『膀胱がんでした。そのまま入院しました』
『ありがとうございました』
との連絡をいただいたが
医師からは
『どうして、もっと早く来なかったんですか?!』
と言われたとのこと。
でも
この男性は、腰が痛いから整形外科を受診したまでで・・・。
膀胱がんで腰(骨盤内)に痛みを感じる時は、がんが進行していることが多いらしいです。
きっと、この男性もそうだったのでしょう。
その後しばらくして
「無事退院した」との連絡をいただいき安心した。
腰痛患者さんの中でのがんの割合は
0.7%(1,000人に7人)程度と言われています。
腰痛を引き起こす可能性があるのは
大腸がん、肝臓がん、膵臓がん、膀胱がんなどです。
また
乳がん、肺がん、前立腺がんなどは
背骨(脊椎)への転移を起こしやすいと言われています。
坐骨神経痛とトリガーポイント その②
前回の施術( 坐骨神経痛とトリガーポイント その① )から1週間後(2回目)の昨日。
女性は
『足を引きずらずに歩けるようになって、夜も布団で眠れるようになりました。』
『痛みも大した痛みではありませんでした。』
と笑顔で報告してくれた。
そして
一緒に来られているお姉さんは
『今までは足を引きずりながら私の後ろを歩いていたのに、今日は私の前をスタスタ歩いているんです。』
『びっくりしました。』
と話してくれた。
まずは
この女性が進むべき方向へ導くことができてよかった。
今までは
進んではいけない方向へ導かれていたので
あのままでは
とんでもないことになっていただろう・・・
この女性の症状が
本当に神経が障害されたことによるもの(本物の神経障害性疼痛)なら
このような結果が出るはずがない。
この結果からも
この女性の「坐骨神経痛」は
本物の神経障害性疼痛ではないことがはっきりした。
これから多少の波はあるかもしれないが
あとは
トリガーポイントをじっくりと鎮静化していくだけだ。
坐骨神経痛とトリガーポイント その①
先日、右脚の付け根とひざの痛みを訴える女性が青梅市から来られた。
痛みの始まりは去年の1月
ある日突然、右脚の付け根が痛くなり歩けなくなってしまったそうだ。
自宅近くの整形外科を受診すると
レントゲンとMRIの結果から
『変形性脊椎症』
『腰椎滑り症』
『脊柱管狭窄症』
などの影響(圧迫)による『坐骨神経痛』
と言われたそうだ。
あれから1年半
処方された薬を毎日欠かさず飲みながら
物理療法にも週に3回通っているが
足をひきずらないと歩けなくなり
階段は上れなくなる
布団に寝る時平らに寝られなく
椅子に寝ている状態
とのこと(問診票そのまま)だった。
ー 処方された薬 ー
・タ◯ージェ(神経障害性疼痛の薬)
・セレ◯キシブ(非ステロイド抗炎症薬)
・ファモチジン(胃酸の分泌を抑える薬)
ー 物理療法の内容 ー
・牽引
・ウォーターベッド
・膝への超音波
月に一度の診察では
「まだ痛いですか?」と顔も見ずに聞かれ
「まだ痛いです」と答えると
薬の量(mg)が増えても痛みが軽減することはなく
今年に入ってからは
同じ質問に対して同じように答えると
「もっときつい薬を出しましょうか?」
「最終的には手術しかありませんので」
と言われるようになったそうだ。
まずは
『変形性脊椎症』『腰椎滑り症』『脊柱管狭窄症』などは無害の結果であること
『いわゆる坐骨神経痛』は本物の神経痛ではないことをたくさんの資料を使って説明する。
そして
トリガーポイントを探しながら、膝や股関節の可動域(動き)を調べていると
身体のあちこちがそんなに痛いことも股関節がこんなに動かないことも知らなかった
とのことだった。
すべてのトリガーポイントに対して
じっくり・じんわり マイオスライドリリース をおこなって初回を終了。
しまだの施術:https://kinji-shimada.com/free/treatment
薬を飲んでも物理療法に通っても症状が改善しない理由
この女性( 坐骨神経痛とトリガーポイント その① ・その② )のように
『坐骨神経痛』に対して神経障害性疼痛の薬を飲んでも
症状が改善しない方は珍しくありません。
なぜなのでしょうか?
① 薬が効果のない(いい加減な)ものだから
② 薬が効かないほど重篤な神経障害だから
③ 見当違いの薬を処方されているから
① 〜 ③ のどれだと思いますか?
①:薬は10年以上の月日と200〜300億円の費用をかけて(さまざまな研究と治験をおこなったうえで)世に出てきますので ① ではありませんね。
②:『坐骨神経痛』と診断された多くの方の症状が手技療法で改善することから ② でもありませんね。
『神経因性疼痛』は神経そのものの損傷または機能的な異常で、難治性の極めて稀な痛みであり、手技療法の対象ではありません。
その痛みの代表的な原因としては、糖尿病(による神経障害)、帯状疱疹(後の神経痛)、幻肢痛、がんの化学療法などです。
となると・・・③ ⁉️
『見当違いの薬を処方されているから』です。
この女性に処方されていた神経障害性疼痛に対する薬は
帯状疱疹後の神経痛や糖尿病性の神経障害でお困りの方が服用すれば、症状の改善が期待できるでしょう。
ですが
いわゆる『坐骨神経痛』は、これらのような本当の神経痛(神経障害性疼痛)ではないので
この女性のように1年半飲み続けても、症状が改善しないのです。
頭痛で困っている人に、胃腸薬を処方しているようなものです。
そのうえ
トリガーポイントにはほぼ炎症がないので
非ステロイド消炎鎮痛剤を飲んでも効果を得ることはないでしょう。
トリガーポイントによる痛み(症状)を『坐骨神経痛(神経障害性疼痛)』と捉えられてしまうと
治療は見当違いな方向に向かってしまいます。
これでは『いわゆる坐骨神経痛』がよくなるはずはない。
そして
『坐骨神経痛』に限らず
慢性的な痛みで困っている方が ※ 物理療法を受けても
症状が改善しない方は珍しくありません。
※ 物理療法とは、温熱(温める)、電気(低周波などのビリビリ)、超音波、牽引、ウォーターベッドなどです。
なぜなのでしょうか?
たとえば
あの女性にあの物理療法がおこなわれていた理由は
あの物理療法があの女性にとって一番効果的(必要)だからではなく
あれしかやることがないからです。
私が資格を取った時(35年前)とまったく変わらない物理療法。
そのうえこの女性は
牽引を受ける時にはスタッフから
「17キロ 〜 26キロまでの何キロにしますか?」と聞かれ
( 自分で決めるの⁉︎ と思ったとのこと )
膝に超音波を当てている時は
「当て方がうまくない」
「もっと上手に当ててください」
などと言われたそうだ。
( だったらあなたが当ててよ! と思ったとのこと )
そして
『手術をしなくてはならないくらい腰が悪いのに、どうして膝に電気を当てるのだろうと思っていた。』
ごもっともです。
『だけど、先生(医師)は怖いし、嫌われると困るので何も言えなかった。』
診察の時、顔も見ないですからね・・・
ひざの痛みとトリガーポイント
先日、右ひざの痛みを訴える65歳の女性が
杖をつきながらバスと電車を乗り継いで来られた。
右ひざは6ヶ月前から痛みはじめ、自宅近くの整形外科を受診したところ
『変形性ひざ関節症』と診断されたそうだ。
医師からは
「軟骨がすり減って関節が変形している」
「関節に注射をしましょう」
そして
「最終的には手術になるかもしれません」
とのこと。
女性は手術を受けたくなかったので
週に1回、痛い注射を(5回)受けながら処方された痛み止めも飲んだが
痛みが改善することはなかった。
その後
ある整骨院に20回ほど通ったが、こちらでも改善の兆しすら見えなかったとのこと。
※ この整骨院では「身体が歪んでいるから、背骨と骨盤の矯正をしなければいけない」「それには回数券がお得ですよ」と言われて20回分の回数券を購入したそうだ。
このままでは手術になってしまうのかと心配していたところ
『少し遠いけど行ってごらん 私の腰痛が治ったんだから きっと良くなるわよ』と
カラオケの仲間(私の患者さんだった方)が、紹介してくれたそうだ。
赤の丸印は、女性が痛いと訴えたところ
その他のラインは、ひざの痛みと歩行障害を引き起こしているトリガーポイントがあったエリア
『6ヶ月前は杖など必要なかったのに、今では杖なしでは歩けなくなってしまった…』と
とても辛そうだった。
痛みはじめ(半年前)はこんなに広い範囲ではなかったかもしれないが
トリガーポイントを誰にも見つけてもらえずに時間だけが経過した結果
痛み信号に反応した脳と脊髄からの繰り返される命令によって筋肉たちの緊張(こわばり)が強くなり
とうとう杖なしでは歩けなくなってしまったのだろう。
痛みやしびれが慢性化するしくみ:https://kinji-shimada.com/diary/75590
それぞれのトリガーポイントを探索すると
女性は『痛いです』『そこも痛いです』と教えてくれた。
すべてのトリガーポイントに対して
じっくり・じんわり マイオスライドリリース をおこなう。
しまだの施術:https://kinji-shimada.com/free/treatment
施術後は
『あれ?! あんまり痛くない』と杖をつかずに笑顔で帰られた。
その後は週に1回来ていただいたが、3回目で終了した。
この結果は
ひざの軟骨が再生して関節の変形が元に戻ったのではありません。
騒いでいた(活性化した)トリガーポイントたちが大人しくなって(不活性化して)
痛み信号が脳に届かなくなったのです。
脳に痛み信号が届かなくなれば、余計な筋肉の緊張(こわばり)は起こりません。
よって、痛みなくスムーズに歩ける・動けるようになるのです。
痛みやしびれが改善するしくみ:https://kinji-shimada.com/diary/75591
ー 知っておいていただきたいこと ー
・関節の軟骨には、痛みを感知するセンサーはありません。
・身体の歪み(左右非対称)は結果であって、原因ではありません。
・身体の歪みなどで、痛みを説明することはできません。