そよ風 note
スタチン系薬によるトリガーポイントへの影響
一部の薬は、副作用として筋肉の痛みやこわばりなどを引き起こすことがあります。
たとえば、「トリガーポイント」を抱える患者さんがスタチン系薬(コレステロール値を下げる薬)を服用する場合は、こうしたリスクに注意する必要があるようです。
トリガーポイントの形成には、筋肉の細胞内で過剰なカルシウムイオンの放出が起こっています。
ところがスタチン系薬は、このカルシウムの調整に影響を与える可能性があり、トリガーポイントに関連する一連の生理反応(カスケード反応)を活性化させる可能性があるようです。
「カスケード反応」とは、トリガーポイントが引き金となり、神経系やホルモン系を含む生理学的反応が連鎖的に広がることで、症状が広範囲に及ぶ現象です。
「Simvastatin triggers mitochondria-induced Ca2+ signaling alteration in skeletal muscle」
この研究によると、スタチンは筋肉の細胞内のカルシウムイオンの調整を乱し、筋小胞体からの過剰なカルシウムイオン放出を誘発するようです。
こうした変化が、スタチン系薬による筋肉の副作用(痛みや疲労など)の原因になる可能性があると結論づけられています。
薬の名前には「商品名(製薬会社が販売するためにつけた名前)」と「一般名(有効成分の名前)」があります。
例
商品名:ロキソニン / 一般名:ロキソプロフェン
商品名:カロナール / 一般名:アセトアミノフェン
スタチン系薬の一般名には、語尾に「スタチン」がつきます。
商品名 一般名
リピトール アトルバスタチン
クレストール ロスバスタチン
リバロ ピタバスタチン
ローコール フルバスタチン
リポバス シンバスタチン(研究で使われた薬)
メバロチン プラバスタチン
なお、スタチンの副作用として取り上げられることが多い「横紋筋融解症」は、重篤な副作用ではありますが、発生することは極めて稀とされています。
