そよ風 note

2024-11-23 18:00:00

危ない腰痛 

危ない腰痛とは『重篤な疾患によって引き起こされた腰痛』です。

重篤な疾患とは、骨折や悪性腫瘍などの病状がいちじるしく重い『 F A C E T 』と呼ばれる疾患です。

重篤な疾患『 F A C E T 』と『 F A C E T の存在を示唆するサイン『レッド フラッグ』を以下に示します。

 

 『 F A C E T 』

F:Fracture|骨折

A:Aorta|大動脈解離・大動脈瘤破裂

 

C:Compression|脊髄圧迫症候群

 

E:Epidural abscess|硬膜外膿瘍・椎体炎

 

T:Tumor|腫瘍

 

   

レッド フラッグ

⚫︎ 馬尾(ばび)症候群の兆候  →  C(脊髄圧迫症候群)

発症の確率は 0.04%(10,000人に4人)と言われています。

この症状の方が私のところに来られたことはありませんが、患者さんのご兄弟が馬尾症候群になったと聞いたことがあります。

ー 症状 ー

・膀胱直腸障害:「排尿したくても出ない(閉尿)または 自分の意思に反して、大・小便を漏らしてしまうことはありませんか?」

・サドル麻痺:「自転車に乗った時にサドルに当たる部分の感覚が麻痺していませんか?」

※ 馬尾症候群は上記の神経症状だけで、腰痛(痛み)を伴わないことがあります。

※ 馬尾症候群は『医学的緊急事態』ですので、緊急手術になることもあります。

⚫︎ 重大な外傷歴(全年齢が対象) →  F(骨折)

高齢(骨粗鬆症)の方は、布団の上で尻餅をつくなどの軽微な外傷でも、背骨を圧迫骨折することがあるので注意が必要です。

尻餅をついてしばらく時間が経っても腰や背中の痛みが引かない時は、レントゲン検査を受けてください。 

⚫︎ 安静にしていても軽快しない痛み  →  T(腫瘍) や   E(硬膜外膿瘍・椎体炎)

「夜間の絶え間ない痛みや横になっていると痛みが悪化しませんか?」

 がんや背骨(脊椎)の感染、内臓疾患の疑いもあります。

⚫︎ 胸背部痛  →  A(大動脈解離・大動脈瘤破裂)

「胸(前側)に痛みはありませんか?」

大動脈の解離や瘤破裂、狭心症や心筋梗塞の疑いがあります。

⚫︎ がんの病歴や体重減少、食欲減退  →  T (腫瘍)

「以前、がんになったことがありますか?」

「食欲はありますか(減っていませんか)?」

「体重が減っていませんか?」

(運動やダイエットをしていないのに、3ヶ月以内に体重が10%以上減っている)

がん(脊椎転移)の可能性もあります。

⚫︎ 長期間のステロイド剤(主に内服薬)の使用、免疫抑制剤の使用  →  F(骨折) や  E(硬膜外膿瘍・椎体炎)

ステロイド剤は骨粗鬆症になりやすいので「いつの間にか骨折(脊椎圧迫骨折)」を起こす可能性があります。

免疫抑制剤は免疫力を抑制する作用があるので、背骨(脊椎)に感染を生じる可能性があります。

⚫︎ 発熱  →  T(腫瘍)

がんの患者さんは70%で発熱する(腫瘍熱)と言われています。 

毎日、37.8℃以上の発熱がある、発熱が2週間以上続くなど

⚫︎ 20歳未満 または 55歳以上  →  F A C E T すべて 

 

上記のサイン『 レッド フラッグ 』があるときは、すぐに病院を受診してください。

 

ある医師(救急医)のブログには

・安静時痛の有無を重視している。

 

・ F A C E T のうち、A(大動脈解離や瘤)E(腫瘍や椎体炎)であれば、安静時でも痛みがないということは考えにくい。

 

・安静時痛がある、という時点で筋骨格系の痛みと言えない可能性がある、何らかの画像検査をせざるを得ない状況だなと考えます。

と書いてありました。