そよ風 note
2025-06-14 18:00:00
「こむら返り」 と 「骨盤の歪み」
先日、患者さんからのご紹介で、左脚の「こむら返り」にお悩みの70代の女性が来室された。
もともと就寝中に足がつることは時々あったが、2〜3ヶ月前から頻繁に起こるようになったとのことだった。
「年齢のせいで筋肉が硬くなってしまったからかもしれない」と思い、自宅近くの整骨院を訪ねたところ、『骨盤が歪んで脚の長さに差が出ているから、このままでは歩けなくなってしまう』と言われたそうだ。
歩けなくなっては困ると不安になった女性は、お得だと勧められた回数券を購入して「骨盤矯正」を10回ほど受けたが、症状はまったく改善しなかった。
にもかかわらず、『あなたの骨盤の歪みは特にひどいので、もっと効果的な施術が必要だ』と、さらに高額な回数券の購入を勧められたが、女性は納得がいかなかったので断ったとのことだった。
このような「リピート & アップセル」が目的の「骨盤の歪み商法」は、整骨・整体業界では「ビジネスモデル」などと称されていますが、実態はただの「煽り商法」にすぎません。
「情弱ビジネス」とも呼ばれていますが、整骨・整体(個人・チェーンを問わず)業界に広く浸透しているのが実情です。
このような商法は、「初回割引(今だけ・◯人限定など)」⇨「不安を煽る説明(このままでは危険)」⇨「回数券販売(長期・高額)」の流れになっています。
・医学的な見解では、骨盤は強靭な靭帯と関節によって安定しており、骨折などの明瞭な損傷がない限り「歪み」が生じることはありませんが、整骨・整体的な見解では、簡単に「歪み」が生じます。
・「骨盤矯正」という用語は、「歯列矯正」のように医学的に定義されたものではなく、整骨・整体で用いられる非医学的な(ビジネス)用語です。