そよ風 note

2026-06-20 18:00:00

ぎっくり腰とトリガーポイント

先日、前日からの「急性腰痛:ぎっくり腰」でお困りの30代の男性が来室されました。

私も、2回ほど(10年前と6年前に)経験していますので、あの痛みとつらさはよくわかります・・・

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この写真は施術前、前方にあるベッドに寄りかかりながらイスに座っていただいている状態です。

この「筋肉の強烈な収縮による盛り上がり」と「フラットバック・平らな腰 」は、ぎっくり腰の程度によって強調される、いわば「ぎっくり腰特有」の症状です。

慢性的な腰痛でも同様の現象が起きますが、これだけ広範囲で強烈な筋肉の収縮は、ぎっくり腰の極期(最も症状が激しい時期)でしか見ることはできません。

実際に目の前で見ると、皮膚の緩みがなくなったことによる光の反射(異様な光景)からも、その緊張の強さが伝わってきます。

この男性も、前屈みの姿勢から上体を起こすことができず、前屈みを支えるために手で脚の付け根あたりを押さえ、あの痛みを引き起こさないためにもその姿勢を保っていました。

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一見すると◯で囲った「筋肉の盛り上がり」がぎっくり腰の原因に思えるかもしれませんが、この強烈な収縮は「原因」ではなく「結果」なのです。

脳で感じているあの痛みは、この強烈な筋肉の収縮によって生じているのですが、この筋肉がここまで収縮しなければならない理由は、身体前面(前腰部)にある深層筋群(腹直筋や腸骨筋・大腰筋などの腸腰筋)といった「屈筋群(からだを曲げる筋肉)」の持続的な収縮(ロック)にあります。

この収縮によるロックは、車のシートベルトがロックして伸びなくなったような現象です。そのため、上体を起こすことが困難になります。

 

通常、身体を前に倒す際は、お腹側の筋肉(主動筋)が収縮すると同時に、背中や腰の筋肉(拮抗筋:反対の動きをする筋肉)が緩むことによって、スムーズに動くことができます。

肘や膝の曲げ伸ばしも同様で、一方の筋肉が収縮するともう一方の筋肉は緩む「相反神経支配」というシステムが働いています。

※実は通常の動きでも、反対の動きをする筋肉はブレーキをかけながら耐える「伸張性収縮(引き伸ばされながら収縮する)」という、筋肉にとってはとても過酷な仕事をしています。

ところが、ぎっくり腰の時には「身体は前屈みなのに、背中の筋肉が板みたいに硬くなる(主動筋と拮抗筋が同時に激しく収縮してしまう:共収縮)」という、通常とは異なる現象が起こります。

身体前面の筋肉(腹直筋や腸腰筋など)の持続的な収縮に対して、脳と脊髄がこれ以上の前方への傾きや転倒を防ぐ(バランスを保つ)ために、身体後面(背中の起立筋群や臀部)の筋肉に防御指令を送り、最大強度で引っ張っている『超高圧なコルセット』こそが、ぎっくり腰の本態です。

 

身体を守るために脳と脊髄が出す指令は、非常に強力なのです。

 

このような症状に対しては、事前の説明はそこそこにして、とにかく施術を開始します。

この症状を引き起こしていた『活性化したトリガーポイント(訳あり筋)』に対して、30分ほど施術した結果です。

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トリガーポイントが不活性化し、脳と脊髄からの防御指令が解除されたことで、筋肉の強烈な収縮も弛緩しました。前方のベッドに寄りかかることもなく座れています。

施術中は、それなりの痛みに耐えていただくことになりましたが、無事にリリースすることができました。

 

この男性の急性腰痛は、トリガーポイントによるぎっくり腰でしたが

急に腰(背中)が痛くなった:急性腰痛』= 『トリガーポイントによるぎっくり腰』とは限りません。

特に、痛みの訴えが非常に強いにも関わらず、この男性のような典型的な防衛的筋収縮や姿勢変化が乏しい場合や、安静時痛(じっとしていても痛い、楽になる姿勢がない)・ 夜間痛(痛くて眠れない)がある場合には、背骨の圧迫骨折や悪性腫瘍、血管疾患などの可能性も考慮する必要があります。

トリガーポイントによるぎっくり腰では「この姿勢なら楽」という、逃げ場があります。

起き上がりや寝返りが地獄のようにつらくても、逃げ場がないことは一般的ではありません。

 

「危ない腰痛」 

https://kinji-shimada.com/diary/141609

 

「膀胱がんによる腰痛」 

https://kinji-shimada.com/diary/141635