そよ風 note

2023-10-03 21:00:00

②『痛みを感じるしくみ』

『痛み』は『電気信号』です。

(神経が電気コードで、痛み信号はその中を通る電流をイメージしてください)

痛みを起こす物質や組織を損傷するくらいの強い刺激に『痛みの受容器』が反応すると、電気(痛み信号)が生じて、脳に伝わるしくみになっています。

慢性痛の場合は、『痛みを起こす物質』に反応しています。

このしくみによる痛みを『侵害受容性疼痛(しんがいじゅようせいとうつう)』と言います。

 『筋膜性疼痛症候群・トリガーポイント』による痛みも、同じしくみです

 

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慢性痛は、痛み信号が生じたところから『人が歩く(時速3.6km)くらいの速さ』で神経(C線維)を通って脳に伝わり、『痛い』と感じています。

一方、急性痛は、慢性痛とは異なる3倍くらい太い神経(Aδ線維)が『約15倍(時速54km)くらいの速さ』で伝えています。(緊急性が高いので速く伝わります)

痛み信号が発生したトリガーポイントが『痛みの第一現場』で、痛み信号を受け取っている脳は『痛みの第二現場』です。

 

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たとえば

『右ひざが痛い・・・』と感じる時  

痛みのホント その2『『痛みを感じるしくみしくみ』 

<痛み信号の流れ>

 『脳』

『背骨の中にある脊髄』※1 

『末梢神経』※2 

(痛み信号の発信)

『トリガーポイント』

 

※1 脊髄(せきずい):脳から連続する中枢(ちゅうすう)神経で、背骨の中に存在。

 神経伝達の中継と反射機能(←慢性痛に関わる)をつかさどる。

※2 末梢(まっしょう)神経:脳と脊髄(中枢神経)から分かれて、全身の器官・組織に分布。

全身の器官・組織と中枢神経系(脳と脊髄)を結ぶ伝導路。

 

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トリガーポイントの場合は、痛み(信号)を脳に伝える神経の先端にある『ポリモーダル受容器』というセンサーが『発痛物質 *ブラジキニン』に反応して、痛み(信号)が生じています。

*ブラジキニンは、数ある発痛物質(セロトニン、ヒスタミン、アセチルコリンなど)の中でも『最強』と言われ、トリガーポイントが活性化した時は『それなりの強い痛み』になる。

ほとんどの筋骨格系(肩こり、腰痛、膝痛など)の痛みをはじめ、椎間板ヘルニアの神経圧迫によるとされている、いわゆる『坐骨神経痛』も侵害受容性疼痛』です。

トリガーポイントによる脚の痛みやしびれは『坐骨神経痛』と間違えられることが多いです。 

神経は痛みを伝えるものですが、神経因性疼痛(しんけいいんせいとうつう)のように神経そのものが傷つかない限り、痛みを起こすことはありません。(例:糖尿病による神経障害や帯状疱疹など)

多くの方が診断されている『坐骨神経痛』が、本当に神経因性疼痛であるならば、手技療法で改善するはずがありません。

 

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慢性痛には侵害受容性疼痛のほかに神経因性疼痛(しんけいいんせいとうつう) 』と『痛覚変調性疼痛(つうかくへんちょうせいとうつう)』があります。

『神経因性疼痛』は神経そのものの損傷または機能的な異常で、難治性の極めて稀な痛みであり、手技療法の対象ではありません。

その痛みの代表的な原因としては、糖尿病(による神経障害)、帯状疱疹(後の神経痛)、幻肢痛、がんの化学療法などです。

また、今まで原因不明の痛みは『心因性疼痛』と呼ばれていましたが、昨年『痛覚変調性疼痛』となりました。

この痛みは『痛み』への不安や恐怖、その他のストレスや人間関係などの影響で、脊髄から脳にかけての神経回路が時間をかけて変調することで痛みを悪化させると考えられています。

線維筋痛症や過敏性腸症候群などが典型的な疾患です。

  

③ 『しびれを感じるしくみ』

 

2023-10-03 21:00:00

③『しびれを感じるしくみ』

『しびれ』も『電気信号』です。

腰痛、頭痛、めまいなどとともに、手足のしびれも訴えの多い症状の一つです。

正座をしているときや正座から立ち上がったときに『ジンジン』『ビリビリ』『チクチク』する、あの感覚です。

痛みを同時に感じることも、数分で消えてしまうこともあります。  

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<しびれを感じるよくある原因>

1:長い時間の圧迫(正座や腕まくらなど)

2:脱水(脱水症や熱中症など)

3:血液の循環不全(動脈硬化・静脈瘤・リンパ浮腫など)

4:神経系の疾患(糖尿病による神経障害・帯状疱疹など)

5:パニック発作(過呼吸症候群)

6:心理的なストレス(心身反応)

しびれの原因は『すべて神経(系の疾患)』とは限りません。

筋膜性疼痛症候群で起こるしびれは『血液の循環不全』によるものです。

(心理的なストレスもによるしびれをともなっている場合もあります)

 

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しびれは、痛みを伝える神経『Aδ線維・C線維』と感覚専門の神経『Aβ線維』が伝えています。

Aβ線維は、神経のどこかに異常が生じたときに起こるしびれを伝えます。(主に神経系の疾患) 

 

痛みやしびれを伝える神経

(しびれ専門の神経はありません)

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神経は太くなるほど早く伝わります

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筋膜性疼痛症候群の場合、以下のような時にしびれを感じやすくなります。

・血管の持続的な収縮によって、血流量が低下した時 

『ジンジン(ジーンジーン)』

C線維による、鈍い痛みに近い(正座をしているときに感じる)しびれ

・血管の拡張によって、低下していた血液量が急激に増加した時

『ビリビリ』⇨『チクチク』へ

Aδ線維による、はっきりとした痛みに近い(正座を解除して立ち上がってから感じる)しびれ

 

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京都大学の研究により、感覚神経にある痛みセンサー(TRPA1)が低酸素により過敏化することがわかりました。

血液の流れが悪くなった後に一気に血流が再開すると、大量の活性酸素(身体にダメージを与えたり、痛みを引き起こしたりする)が発生します。

この活性酸素が、過敏化した痛みセンサーを活性化することにより、強いしびれや痛みが生じることも明らかになりました。

※『痛みセンサー』→ 『低酸素』→『過敏化』→『活性化』

このしくみはトリガーポイントと同じです。

 

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このように、血流の急激な増加でもしびれを感じますが、そもそもは『血液量の低下』です。

トリガーポイント(過敏化した受容器)が鎮静化すれば、血行障害も徐々に改善し『急激な増加』が起こらなくなります。

  

④『痛みやしびれが慢性化するしくみ』

2023-10-03 21:00:00

④『痛みやしびれが慢性化するしくみ』

痛みやしびれは、以下のしくみで慢性化していきます。

このしくみを『痛みの悪循環』と言います。 

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※1:痛み信号が『脊髄(小さい脳)』に入ると、脊髄の反射により筋肉が収縮する。 

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※2:痛み信号が『脳』に届くと、交感神経が反応して筋肉と血管が収縮する。

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※3ストレスにより『痛みの閾値』が下がる。

(痛みを感じやすくなり、痛み再発のきっかけにもなる)

 痛みや身体に対する誤った思い込みは、慢性化に拍車をかける。

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※4:交感神経の緊張(アドレナリンの過剰分泌)により、血管・筋肉が持続的に収縮する。

アドレナリンの短期的な分泌は、身体のパフォーマンスを上げるのによい働きをしますが、長期的な分泌は賢明ではありません。

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※5:睡眠の乱れ(夜間の不眠や日中の眠気)により『痛みの閾値』が下がる。

(痛みを感じやすくなり、痛み再発のきっかけにもなる)

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※5:筋肉は運動神経と交感神経によってコントロールされている。

 交感神経緊張 =『闘争か逃走か(闘うか逃げるか)』反応

その反応の準備として(以下の理由により)、背中の筋肉やハムストリング、僧帽筋などの大きな長い筋肉が緊張する。

 ・大きなトルク(関節を動かすための力)を生み出すことができるから

 ・複数の関節をまたいでいるから

 ・大きく短縮することができるから

これらの筋肉が繰り返し緊張すると『硬さ・凝り・痛み』(肩こり・腰痛・膝痛など)を感じやすくなる。

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※6:血行障害により、局所的に低酸素状態(酸欠)になる。『知覚の異常』も起こり『しびれ』を感じやすくなる。

 

このしくみが繰り返されると、痛み受容器が過敏化して些細な(肉体的・精神的)ストレスにも反応するようになり、症状は慢性化していきます。   

 

⑤『痛みやしびれが改善するしくみ』

2023-10-03 21:00:00

⑤『痛みやしびれが改善するしくみ』

腰痛をはじめとする慢性化した痛みには、痛みを起こしている部位の問題だけではなく、痛みに対する心理的な因子(不安や恐怖)も痛みの悪化や慢性化に関与しています。

『トリガーポイントの鎮静化(身体の機能的な回復)』と『痛みを正しく知る(心理的な支援を得る)』ことで、 痛みに対する不安や恐怖が軽減し、多くの痛みは自然に治っていくのです。

痛みやしびれは以下のしくみで改善していきます。

このしくみを『改善の好循環』としました。

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※1:トリガーポイントが鎮静化すると、些細なストレスに反応しなくなる。

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※2:痛み信号の発信回数が減ると、痛みが小さくなり、痛む時間も短くなる。

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※3:『痛みを知る』ことで、痛みに対する不安や恐怖が軽減する。

『痛みの閾値』が上がる。(痛みを感じにくくなる・痛み再発の防止にもなる)

たとえ痛みを感じても、以前のような不安や恐怖がなくなる。

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※4:交感神経の緊張が緩むと、アドレナリンが過剰に分泌されなくなる。

血管が拡張して血行がよくなる筋肉の緊張が緩和する・眠れるようになる

『痛みの閾値』が上がる。『眠りは王様』

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※5:血液の流れが改善すると、しびれを感じなくなる。

急激な血流量の増加も起きなくなる。

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※6:酸素と栄養素が十分に行き届くと、発痛物質(ブラジキニン)の産生が減少する。

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※1:受容器が反応する回数が減ると、トリガーポイントはさらに鎮静化する。  

2023-10-03 15:00:00

筋膜はボディスーツ

皮膚の下には、浅いところにある『浅筋膜』と、深いところにある『深筋膜』があります。

 

筋膜は、頭のてっぺんから足の先まで繋がっていて、連続体として機能しています。

皮膚も連続体ですが、その下には筋膜という『ボディスーツ』を重ね着しているのです。

皮膚を部分ごとに分けることができないように、筋膜も分けることはできません。

身体が倒れないように姿勢を保ちながらも複雑な動きができるのは『筋膜・ボディースーツ』のおかげです。