『筋膜ケア』 の 施術室 しまだ

そよ風 note

2023-10-12 21:00:00

心の痛みは本当に痛む

 

痛みとネガティブな感情は、深く絡み合っています。

 

私たちは、悲しいことや辛いこと(家族や仲間や恋人からの拒絶、別れなど)があった時、『心が痛む(傷ついた・折れた)』などと表現します。

 

IMG_3377.jpeg

  

近年、脳内の活動をオンライン(f MRI)で解析することができるようになり、痛みと感情の関係(身体的な痛みと心の痛みのつながり)が明らかになりました。

 

たとえば、人間関係で人に拒絶された時に傷つきやすい人は、身体的な痛みについても 強く不快と評価する傾向がある そうです。

 

また、たとえ傷つきやすくない人でも、社会的な苦悩(人間関係の中で苦しみ悩むこと)を経験をすると、身体的な痛みに対する 不快な知覚が増す そうです。

 

説得力のある事実として、人間関係における拒絶(ゲームのメンバーから外されるといった軽度な排斥でも)と身体的な痛みとは、脳の中の同じ領域 が活性化します。

 

もっと強力な拒絶を用いた研究では、恋人と別れたばかりの人に元恋人の写真を見せると、脳の中の感情的な痛み領域だけでなく、感覚的な痛み領域も活性化することがわかりました。

 

Social rejection shares somatosensory representations with physical pain IMG_4063.png

『社会的拒絶は、身体的な痛みと体性感覚を共有する』

 

この研究は、2011年にミシガン大学がおこなったもので、NHKのヒューマニエンスという番組「"痛み"それは心の起源」でも紹介されていました。

 

IMG_3377.jpeg

 

『心が痛む(傷ついた・折れた)』といった表現は、単なる言葉のあやではなく、現実的な比喩だったのです。

  

脳にとって『心の痛み』は『身体の痛み』と同じものなのです。

2023-10-10 06:00:00

『こころ』と『からだ』その③

 

『感情』は、自律神経と内分泌系と免疫系を介して、身体的な影響を現します。

 

その中でも、感情の影響が顕著に表れる神経系の反応は、前回に引き続き『筋肉の収縮』です。

 

不快な感情を抱くと、首や背中や腰など日常的によく使われる筋肉(特に大きな筋肉)が硬く緊張して痛みを感じさせます。

 

そして、血管や内臓の筋肉も同様に緊張します。

 

胃は、感情が身体に現れる代表的な臓器です。

 

私たちは、胃の具合によっても感情の動きを感じ取っています。

 

気分良く上手くいっている時は食欲満点ですが、気分悪く上手くいっていない時は食欲が減退します。

 

また、胃と同様感情の変化を起こしやすい臓器の一つが、長さ8メートルもある腸 (特に結腸)です。

 

『結腸はこころの鏡』

 

こころが緊張すると結腸も緊張すると言われています。

 

その結果起こる症状は、便秘や下痢です。

 

頭の内外の血管も感情の影響を受けやすく、多くの頭痛の原因になります。

2023-10-05 21:00:00

腰の痛みと背骨の変形

 

IMG_4047.jpeg

 

供覧しているレントゲンは、慢性的な腰痛でお困りだった女性(69歳)の腰部です。

※ レントゲンは医師の協力により撮影されたものです。

 

ご夫婦でラーメン屋さんを営んでいるが、腰が痛くて立っているのが辛い』『立っていられなくなる』『仕事にならない』とのことだった

 

整形外科、整骨、鍼灸、整体、カイロ、マッサージなど 22ヶ所 に行ったが、期待する効果を得ることができず、私が「23ヶ所目だ」とおっしゃっていた。

 

IMG_4045.jpeg

 

このレントゲン ① は、私が施術を開始した(腰がとても痛い)時のレントゲンです。

 

女性は『整形外科をいくつも行った(いつも同じ説明だった)ので覚えてしまった』と、以下のように私に説明してくれた。

 

:『背骨が変形して、棘のようになっている。』

 ○ 以外も同じように変形しています。これは「骨棘(こつきょく)」と言い、背骨や膝の関節にもよくある変形です。

 

↑:『椎間板が(2ヶ所)潰れている。』

※ これは「椎間板の狭小化」と言います。

 

そして。

 

『これは老化現象なので治らない。痛み止めを飲みながら、うまく付き合っていくしかない。』とのこと。

 

ところが。

 

施術を開始して23ヶ月ほどで改善が見られ、半年後には、ほぼ痛みなく1日立っていられるようになります。

 

IMG_3377.jpeg 

 

本題はここからです。

 

その後、痛みが落ち着いても定期的に施術を受けにいらしていたが

 

施術開始から1年後(腰痛をほぼ忘れた時)の写真が、こちら ② です。

 

      ⇓

 

IMG_4046.jpeg

 

① と比べてみましょう。

 

IMG_4047.jpeg

 

レントゲン ①(腰がとても痛い時  ②(腰痛をほぼ忘れた時)では、複数の医師から腰痛の原因と説明された、背骨の変形と椎間板の狭小化は全く変化(改善)していませんが、痛みは大きく変化(改善)しています。

 

1年経過しているので変形も進んでいるのかもしれませんが、たった1年では分かりません。

 

なぜなら、このような変形は、5年、10年、15年、20年・・・と時間をかけて、少しずつ変化していくからです。

 

この女性も、腰痛がなかった時でも、背骨の変形はすでに始まっていたはずです。

 

背骨と椎間板(特に腰椎)は、程度の差こそあれ、加齢とともに誰でも変形します。

 

IMG_3377.jpeg

 

私も、ご多分に漏れず、背骨は変形し椎間板は狭小化しています。

 

fullsizeoutput_1eb2.jpeg

 

おまけに、その箇所はヘルニアですが、慢性腰痛も脚のしびれもありません。

 

55899D2B-D3FF-4DBC-85EA-86264F88D4CF.jpeg

 

IMG_3377.jpeg

 

加齢による背骨の変形や椎間板の狭小化は、ぎっくり腰や慢性腰痛の原因ではありません。

 

慢性的な腰痛で困っていない方は病院を受診する(レントゲンを撮る)ことがないので、自分の背骨が変形していることを知りません。

 

中年期以降に腰のレントゲンを撮れば「誰でも、それなりの変形がみられる」ということです。

 

2023-10-05 13:00:00

『こころ』と『からだ』その②

 

身体は24時間止まることなく、私たちが寝ている間も身体を修正してくれています。

 

そのために可能な限り、全身のあらゆる『筋肉』を使っています。

 

首~肩のこりや腰痛などで現れる筋肉の緊張は、身体が修正をかけている結果、筋肉が正常に機能しているからこそ起こる現象でもあります。

 

筋肉の緊張は、身体が自らを保護したり調整している恩恵の証であって、決して「力ずくでその筋肉を揉みなさい」と言っている訳ではないのです。

 

身体からのメッセージを無視して「力ずくで揉んでしまったら」、身体はその刺激に(防御的)反応して、更に強く緊張してしまいます。

2023-10-03 21:00:00

①『2つの痛み』

 

一口に『痛み』と言っても、痛みにはしくみの異なる『急性痛』と『慢性痛』があります。

 

この2つの痛みは、痛みを生じる原因も脳に伝える神経(痛みセンサー)も異なるので、対処法も異なります。

 

 
IMG_3377.jpeg

 

『急性痛』とは  

 

身体のどこかが傷ついたり、何らかの理由で組織が炎症を起こしたりした時に感じる、『鋭い、どこが痛いのかはっきりした痛み』です。

 

例:転んで膝をぶつけた、指を切った、歯を抜いた、風邪をひいて喉が痛い、骨折をした など

 

このような『炎症がある痛み』は

・怪我をした(炎症を起こした)ところをよく冷やす。

・血行が良くなることは避ける。(入浴や運動、飲酒や辛い食べ物など)

・消炎鎮痛剤がよく効きます。

・とにかく安静です。

・日にち薬です。

 

誰もが経験したことのある、病気や傷にともなう『症状としての痛み』なので、傷や病気が治れば痛みも役目を終えて消えていきます。

 

また、急性痛は『痛みの大きさと経過日数』はほぼ比例するので、痛みがいつ頃消えるのか予測することができます。

 

下図「急性痛と慢性痛の経過の違い」を参照してください。

 

※ すべての炎症は痛みを伴いますが、すべての痛みが炎症を伴うわけではありません。

 

ギックリ腰や寝違いなどは、ある日突然に起こる痛み(急性痛)ですが、炎症を伴う(傷の)痛みではないので、即時改善が可能です。

 

 A22507C1-9C0C-4F8D-8224-8323AC9DA575.jpeg 

※ 急性痛と慢性痛を比較した一例です。

 

IMG_3377.jpeg

   

『慢性痛』とは  

 

3ヶ月〜6ヶ月以上(数ヶ月〜数年)にわたって続く、『ズーンという、鈍い、うずくような、(急性痛ほど)どこが痛いのかあまりはっきりしない痛み』です。

 

例:筋膜性疼痛症候群、頭痛(主に緊張性頭痛)、慢性腰痛、肩こり、ひざ痛、四十肩、いわゆる坐骨神経痛 など

※ 病院では、背骨の変形や椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、変形性の関節症(関節の軟骨がすり減っている)、などの診断を受ける場合があります。

 

このような『炎症がほぼない痛み』は

・冷やさずに温める。

・血行が良くなることを積極的におこなう。(入浴や体操、ウォーキングなど)

・消炎鎮痛剤は、あまり効きません。

・安静よりも、できるだけ動く(行動)です。

・日にち薬も効きません。

 

誰もが経験する訳ではない、けがや病気が治っても痛みが消えない、いくら検査をしても異常がないなど、急性痛とは異なる『ちょっと複雑な痛み』です。

 

慢性痛は、日によって痛みの大きさが変化することもありますが、『痛みの大きさと経過日数』は比例しないので、痛みがいつ頃消えるのか予測することができません。

 

上図「急性痛と慢性痛の経過の違い」を参照してください。

 

IMG_3377.jpeg 

 

慢性痛は急性痛とは痛みを起こすしくみが異なるので、急性痛にはよく効く鎮痛剤も効かない場合がほとんどです。

 

そして、急性痛と大きく異なる点として、慢性痛は以下の要因が相互に絡み合っています。

 

・身体的な要因

トリガーポイント(過敏化した受容器)

 

・心理的な要因

 不安・悩み・悲しみ・怒り・恐怖・抑うつ 』 などの精神的なストレス

『痛み』そのもの(痛みに対する誤解)もストレスになる。

 

・社会的な要因

まわりの人との人間関係(親子や夫婦の関係、職場の環境や人間関係など)  

いつまでもよくならない痛みが、人間関係を悪化させることもある。

 

・睡眠(障害)

不眠、中途覚醒(断続的な睡眠)

不眠症の方は、慢性的な痛みを伴っているケースが多く、慢性的な痛みを抱えている方は、睡眠障害を伴っているケースが多い。

(睡眠の量や質の悪化が、痛みの再発や程度と関係している)

 

 

これは、慢性的な痛みやしびれが一元的なものではなく、多元的なものであることを示しています。これらの要因が占める割合は、人によって異なります)

 

 

 

痛みのホント その①『2つの痛み』 

 

 

慢性的な痛みやしびれは、『心と身体(トリガーポイント)が相互に絡み合った結果(心身反応)』と捉えると、期待する結果を得ることができるようになります。

 

IMG_3389.jpeg 

1F0C92B2-018C-43D7-8122-9A2D60EC76B2.jpeg

このような心身反応は、習慣化することがあります。 

 

 

②『痛みを感じるしくみ』IMG_4061.png

  

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 ...