『筋膜ケア』 の 施術室 しまだ

そよ風 note

2024-01-13 18:00:00

筋膜を不健康にする悪者 その① 『運動不足』

 

健康な筋膜には、制限のない滑りながら動く運動性があります。

 

そのおかげで、私たちは痛みなく自由に動くことができています。

 

しかし、筋膜が不健康になる(滑りながら動く運動性が制限される)と、痛みや運動制限を伴うようになります。 

 

知らず知らずのうちに筋膜を不健康にする『悪者リスト』をご紹介します。

 

その① 『運動不足』

 

その② 『けが』『ストレス』『使いすぎ』IMG_4061.png

 

その③ 『糖質』IMG_4061.png

 

その④ 『脱水』IMG_4061.png

 

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その①『運動不足(動きが少ない)』

 

私たちの祖先は毎日何時間も歩いたり走ったり、物を持ち上げたり投げたり、体を曲げたり伸ばしたりしていました。

 

ところが、現代のほとんどの人は毎日何時間もパソコンの前に座り、毎日同じような限られた動作を繰り返しています。

 

残念なことに、筋膜ほど『使うか、失うか』という決まり文句が当てはまるものはありません。

 

なぜなら、筋膜は動かないと乾燥して硬くなり、ベタついてしまうからです。

 

運動不足は筋膜を不健康にするリストの第1位であり、筋膜にとっては最悪の事態なのです。

 

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2002年におこなわれた、ラットの体の一部を3週間固定した研究の結果は衝撃的でした。

 

 

筋膜の綺麗な網目は、太くもつれて艶がなくなり、コラーゲン線維があらゆる方向に過剰に走っていました。

 

 

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 <電子顕微鏡写真> 

 

Daniel Fenster(2020)『Free Your Fascia』Hay House Inc

 

 

A:固定する前のコラーゲン構造 

  

 

B:3週間固定した後に撮影した同じ領域(コラーゲン線維の変化と崩壊が起こっている

 

 

コラーゲン線維は、適切な刺激がなければ「きれいな庭」ではなく「雑草」のように成長します。

 

 

教訓 ①

「運動は化粧水」であり、毎日さまざまな方向に動く必要があります。

 

教訓 ②

運動した後は、水分の補給と休息が必要です。 

 

 

定期的に身体を動かしていると、筋膜にかかる圧力によって水分が吸い上げられます。

 

そして、筋膜を休めると新鮮な水分が筋膜に送り込まれます。

 

この『運動と休息のサイクル』が、筋膜をリフレッシュさせて滑りやすさを保つ秘訣です。

 

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【 運動する時のヒント】

 

① 可動域(動かせる範囲)をフルに使いましょう!

 

② 色々な運動を混ぜましょう!(歩行とラジオ体操など)

 

③ 左右を同じように、ゆっくり大きく動かしましょう!

 

※ 筋トレやランニングなどの激しい運動は必要ありません。

 

 

参考文献「FREE YOUR FASCIAIMG_4063.png

 

 

その② 『けが』『ストレス』『使いすぎ』IMG_4061.png

2023-10-31 21:00:00

筋膜は『スーパーマン』

 

海外の筋膜の専門家は、筋膜を『スーパーマン』に例えます。

 

一見、ただのクラーク・ケントかと思いきや、その役割が『スーパーヒーロー』だからです。

 

実際、筋膜は単なる「梱包材」ではなく、心臓や脳、肺と同じくらい大きな役割を果たしています。

 

 

<筋膜の8つの大きな役割>

 

 

 

その①:身体の各部分が、互いの上下を、そして周りを滑ることができる。

 

歩いたり、走ったり、あらゆる運動をするとき、スムーズに動けるのはなぜでしょうか?

 

それは、動くときに筋膜の層が滑るからです。

 

実際、筋膜が健康であれば、その長さの75パーセントまで滑ることができますが、筋膜が健康でなければ、滑りが悪く(スムーズに動けなく)なってしまいます。

 

 

 

その②:すべてのものを所定の位置に固定する。

 

筋膜は、臓器、骨、筋肉、血管などを固定して、あるべき場所にとどまらせます。

 

もし筋膜がなかったら、206個の骨はただの骨の山になり、臓器は無差別に集まることになります。

 

 

 

その③:水分を保持し、移動させる。

 

筋膜が水を蓄え、全身に運んでいます。

 

蜘蛛の巣を伝う露のように、筋膜のコラーゲンを水滴が伝っています。

 

 

 

その④体全体の通信ネットワーク。

 

筋膜は、身体のあらゆる部位に、あなたの位置や動き、体内環境に関する情報を常に送っています。

 

筋膜には筋肉の10倍以上の感覚神経終末(痛みを感じるセンサーなど)があり、身体で最も強力な感覚器官のひとつです。

 

 

 

その⑤身体のあらゆる部分と他のあらゆる部分をつないでいる。

 

筋膜をフィットしたベッドシーツに見立ててください。

 

シーツの片隅を引っ張ると、シーツのあらゆる部分が動きます。

 

たとえば私たちの身体では、足首を動かすと、太ももの裏側にある筋膜が滑ることがわかっています。

 

また、脚を伸ばすと、首の筋膜に影響を与え、首を動かす能力が高まります。

 

※ 私が『身体全体』を触診するのは、このような筋膜の繋がり(筋膜連鎖)の影響を確認するためです。

 

 

 

その⑥:『テンセグリティー』を生み出す。

 

宇宙飛行士が重力のない宇宙空間で逆さまになっても、骨や内臓がずれないのはなぜでしょうか?

 

それは、人体が『テンセグリティー』構造だからです。

 

 

テンセグリティー その① IMG_4061.png

 

 

テンセグリティーは、内部で(圧縮)力を発生させて、すべてを所定の位置に吊り下げます。

 

事実上、骨や内臓などは筋膜の中で浮いているのです。

 

骨、臓器、筋肉は、筋膜によって固定されていて、筋膜は身体の内部を支えるインフラとして機能しています。

 

筋膜は、私たちの身体に加わった物理的なストレスを吸収して、身体全体に分散させています。

 

 

 

その⑦:リンパの流れを促進する。

 

リンパ系は、全身に ※ 約20万キロ も張り巡らされた管で構成されています。

 

※ 血管の2倍、地球5周分の長さです。心臓から出た血液は約30秒ほどで全身を駆け巡りますが、リンパは8〜12時間かけて全身を1周します。

 

これらの管は、組織からリンパ節へと体液(リンパ)を運び、リンパ節ではリンパから毒素、バクテリア、がん細胞、その他の「ゴミ」をろ過し、浄化された体液を血流へと送り返します。

 

筋膜は、あなたが動くときに、リンパをこのシステムに押し流すことで役立っています。

 

つまり、筋膜が健康であればあるほど、リンパ系の働きは良くなるのです。

 

 

 

その⑧:ストレスに反応する。

 

筋膜は、感情的なストレスによって収縮します。

 

そのストレスが筋膜に及ぼす影響がはっきり現れるのは『顔・首・顎・お腹』です。

 

その結果は『表情や姿勢』に現れ、『肩こり、頭痛、腰痛、顎関節症』などの症状を自覚します。

 

そして。

 

姿勢と筋膜 IMG_4061.png に繋がります。

 

 

私が『顔・首・顎・お腹』を触診するのは、この影響を確認するためです。

 

 

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現在、世界中の何千人もの医師やセラピストが、痛みを和らげ、パフォーマンスを高め、生活を向上させるために筋膜をターゲットにしています。

 

筋膜は、身体のあらゆる部分とつながり、相互作用しています。

 

したがって、筋膜を治療することは、他の構造にも影響を与えることになるのです。   

2023-10-21 18:00:00

姿勢と筋膜

 

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肩こりや腰痛をはじめ慢性的な痛みでお困りの方は、① のような(顎を引いて胸を張った)姿勢を取るのがキツくなってきます。

 

気がつくと、② のような(頭・顎が前に出た前傾)姿勢になっています。 

 

時には ② のような姿勢を取っても問題ありませんが、① の姿勢がキツくなってくると少々問題です。

 

 

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ところで。

 

スピードスケートの選手が着るウェアは、滑走中の前傾姿勢でジャストフィットするように設計されているため、真っ直ぐに起き上がると突っ張るようにできているそうです。(ゴール後、すぐに頭の部分を脱ぐのは真っ直ぐに起き上がるためだそうです)

 

慢性的な痛みや猫背のような姿勢がなかなか改善しない一因は、ボディスーツである筋膜が『スピードスケートのウェアのように前傾姿勢を保ってしまっているから』なのです。

 

身体のあちこちに発生した筋膜の問題を見逃すと、痛みも猫背もいつまでも変わらないばかりか、その姿勢に順応するように股関節や膝関節も軽く曲がった(完全に伸びきらない)状態になっていきます。

 

このイラストでも、① は ② に比べ、股関節と膝は軽く曲がっています。

 

 

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このまま放置すると、脚の付け根や膝まわりにも痛みを感じやすくなってしまいます。(その逆も然りです)

 

※ これまでにもたくさんの『膝(脚)』をみてきましたが、右の膝が軽く曲がっている(完全に伸び切らない)方がとても多いです。(症状や利手に関わらずほぼ右脚なのですが、なぜ右なのかはわかりません)

 

 

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私たちの身体も、スピードスケートのウェアのように全身が筋膜で繋がっています。

 

そして。

 

ウェアの頭の部分を脱ぐと起き上がりやすくなるのと同じように、私たちの身体でも、ある部位の柔軟性や可動性が回復すると、その影響を受けていた離れた部位の状態も改善します。

 

これが、筋膜の連鎖(繋がり)です。

 

 

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姿勢は結果であって原因ではありませんが、『どこに筋膜の問題がありますよ』と教えてくれます。

 

① のような姿勢がキツくない方でも肩こりや腰痛になることはありますが、② の方に比べれば、トリガーポイントの数は少なく施術する範囲も狭いでしょう。

 

 

2023-10-03 15:00:00

筋膜はボディスーツ

 

皮膚の下には、浅いところにある『浅筋膜』と、深いところにある『深筋膜』があります。

 

 

筋膜は、頭のてっぺんから足の先まで繋がっていて、連続体として機能しています。

 

皮膚も連続体ですが、その下には筋膜という『ボディスーツ』を重ね着しているのです。

 

 

皮膚を部分ごとに分けることができないように、筋膜も分けることはできません。

 

身体が倒れないように姿勢を保ちながらも複雑な動きができるのは『筋膜・ボディースーツ』のおかげです。

 

2023-09-29 15:00:00

無視され続けた筋膜

 

筋膜 それは忘れられてきた器官

 

その存在をシンデレラのように無視され続けて数十年、筋膜は生命科学の分野の中で突然脚光を浴び始めました。

 

ほとんどの系統解剖学の解剖において事実上廃棄されていた期間、この無色の線維組織は、大部分がつまらない、自力で運動できない包装容器のように扱われていました。

 

この無視にはいくつかの理由がありました。

 

一つは、深層の艶のある筋肉や臓器と比較して、この組織はどこにでもあるけれども他と区別できる明確な境界がなく、無秩序な組織のようにみえる、というところにあります。

 

科学的に軽視されたもう一つのもっと重要な理由は、適切な測定機器がなかったということです。

 

X線撮影では骨を、筋電図では筋を詳細に研究することができましたが、筋膜の変化は測定が困難でした。

 

例えば、大腿筋膜あるいは腰部の筋膜の厚さは通常2mm未満なので、局所的に20%の厚さの増加があっても超音波画像では見分けられないほどわずかです。

 

しかし、施術者の手にかかると容易に触診可能であろうし、自身の動きの中で感じられるであろう増加量です。

 

この不幸な状況は近年大きく変わりました。

 

超音波測定の進歩、同じく組織学の進歩は、結果的に筋膜に関する研究の劇的な増加をもたらしました。

 

臨床現場の施術者である手技療法、物理療法、瘢痕治療、腫瘍学、外科およびリハビリテーション医学など多くの分野の関係者が非常な関心を抱いて、この流れに乗ってきました。

 

 

「スポーツと運動の筋膜」より

https://www.roundflat.jp/products/books/fascia/fascia.html


編著:Robert Schleip and Amanda Baker

監訳:竹内京子

出版社:ラウンドフラット  

 

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施術者の手にかかると容易に触診可能

 

⬇︎ 

 

しまだの施術 IMG_4061.png 

 

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自身の動きの中で感じられるであろう増加量

 

⬇︎

 

筋膜の状態が悪くなった時に起こること IMG_4061.png

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