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踵付近の痛みに関連する筋肉
踵(かかと)付近の痛みには、「足底筋膜炎」のほか、「踵骨棘」や「アキレス腱痛」などがあります。
国際疼痛学会では、踵付近に生じる痛みは、さまざまな原因が考えられるため「足底踵部痛(plantar heel pain)」という表現が紹介されています。
◾️足底筋膜炎
踵から土踏まずにかけて広がる組織は「足底腱膜」と呼ばれるため、このページでは「足底腱膜」と表記します。
国際疼痛学会が紹介している2019年の報告でも、慢性化したものは単純な炎症だけでは説明できないことから、「足底腱膜炎」よりも「足底腱膜症」という表現が適切であると説明しています。
代表的な症状は
・朝起きて最初の数歩がとても痛い
・しばらく座った後の歩き始めが痛い
・長時間立っていると痛くなる
・自宅に帰って安静にしていると痛む
・クッション性のある靴やサンダルを履くと痛みが軽くなることがある
などです。
◾️踵骨棘が、痛みの原因とは限りません
踵のレントゲン検査では、踵の骨に棘のような骨の突起が見つかることがあり、これを「踵骨棘(しょうこつきょく)」といいます。
「骨棘」という、いかにも痛そうな名称ですが、踵骨棘は痛みのない人にも見られます。
過去の研究では、踵骨棘が認められた人の61%に踵の痛みがなかったことが報告されています。
また、医療機関で「足底腱膜炎」と診断された方を触診した時に圧痛が認められやすいのは、踵の内側であり、骨棘の位置と一致するわけでもありません。
◾️アキレス腱痛
アキレス腱は、ふくらはぎの腓腹筋とヒラメ筋から踵骨につながる強い腱です。
急に運動量が増えたときや、ランニング、ジャンプ、坂道歩行などをきっかけに現れることがあります。
慢性的なアキレス腱痛は、単純な炎症だけではなく、コラーゲン線維の配列の乱れや、神経・血管・免疫反応など、複数の変化が関係すると考えられています。
痛みのあるアキレス腱を触診すると、痛みのないアキレス腱に比べて組織の肥厚がみられたり、腱をつまんだときに強い圧痛を認めることがあります。
◾️踵の痛みやアキレス腱痛に関連する筋肉
足底腱膜痛やアキレス腱痛の患者さんを対象とした研究では、ふくらはぎの筋肉(腓腹筋やヒラメ筋)などにトリガーポイントが認められています。
また、ハムストリングスの柔軟性の低下や、臀筋群の筋力の違い、内転筋群のトリガーポイントを確認することがあります。
※トリガーポイントは筋肉のどの部位にも生じる可能性があるため、トリガーポイントの位置を「×」のように示していません。
腰痛に関連する筋肉
WHO(世界保健機関)は、腰痛の約90%は、画像検査などでは腰痛を引き起こしている原因を特定することができない『非特異的腰痛』であるとしています。
一方、『特異的腰痛』とは、骨折、感染症、悪性腫瘍 など、腰痛を引き起こしている原因を特定することができるものです。
国際疼痛学会も『レントゲンやMRIで椎間板の変化、骨棘、すべり、脊椎の配列変化などが見つかることがありますが、同じ所見は痛みのない人にも認められるため、画像上の変化だけから「これが痛みの原因です」と判断することはできない』としています。
また、「身体の構造的なずれが腰痛を引き起こす」「悪い姿勢が腰痛を起こす」「背骨は傷つきやすく、保護しなければならない」といった考え方を、腰痛に関する一般的な誤解として挙げています。
そして、慢性的な腰痛は、筋肉や筋膜などの身体的な要因に加え、精神的なストレスや睡眠不足、仕事や家庭環境などの心理・社会的要因が相互に関係する、多因子性の症状である としています。
◾️腰痛とトリガーポイント
トリガーポイントに関する研究では、腰方形筋、脊柱起立筋群、腹直筋、腸腰筋(大腰筋・腸骨筋)、大臀筋、中臀筋、小臀筋、大腿筋膜張筋、ハムストリングス、内転筋群、腓腹筋、ヒラメ筋 などにトリガーポイントが認められることが報告されています。
ぎっくり腰(急性腰痛)とトリガーポイントの関係を調べた研究は限られていますが、私の臨床経験では、腹直筋、腸腰筋(大腰筋・腸骨筋)、大腿筋膜張筋、内転筋群 などが改善の鍵になると考えています。
◾️腰痛に伴うさまざまな症状
- 朝の起き上がりで腰が痛い
- ぎっくり腰を繰り返している
- コルセットが手放せない
- 前かがみのときは、膝を曲げて腰を落とす
- 長時間座っていると腰が痛くなる
- 立ち上がるときに腰が痛い(すぐに伸びない)
- 顔を洗う姿勢がつらい
- 靴下やズボンを履く動作で腰が痛い(脚が上がらない)
- 中腰で物を持ち上げると腰が痛い
- 腰からお尻にかけて重だるい
◾️腰痛に関連する筋肉
※トリガーポイントは筋肉のどの部位にも生じる可能性があるため、トリガーポイントの位置を「×」のように示していません。
脚の付け根の痛みに関連する筋肉
脚の付け根の痛みには、大腿骨骨頭壊死、大腿骨頸部骨折、化膿性股関節炎 などによるものもあります。また、小児〜思春期では ペルテス病や大腿骨頭すべり症 などもあります。
特に
- 転んだり、尻餅をついたりした後に痛みが出てきた
- 安静にしていても強い痛みが続く
- 発熱を伴う
- 体重をかけられないほど痛い
- 小児の股関節痛
などの場合は、必ず整形外科などの医療機関を受診してください。
◾️画像上の異常(関節の変形)が、痛みの原因とは限りません
国際疼痛学会は「変形性股関節症にみられる画像上の軟骨変性と、患者さんが感じる痛みとの関連は弱く、軟骨の変性がそのまま痛みを意味するわけではない」と説明しています。
そして、痛覚の過敏化、筋肉からの関連痛、睡眠状態、心理的要因、肥満や糖尿病など、複数の要因が痛みを強める可能性がある としています。
◾️脚の付け根の痛みとトリガーポイント
トリガーポイントに関する研究では、変形性股関節症の患者さんに「腸腰筋(腸骨筋・大腰筋)、大腿直筋、大腿筋膜張筋、小臀筋」などにトリガーポイントが認められることが報告されています。
長時間の座り仕事、歩きすぎ、坂道の上り下り、繰り返し物を蹴る動作、乗馬、オートバイに乗る、ジョギング、ランニング、腹筋運動などをきっかけに、脚の付け根やお腹、お尻、太ももなどにトリガーポイントや筋拘縮が生じることがあります。
◾️脚の付け根の痛みに伴うさまざまな症状
- 歩くと脚の付け根が痛い
- 起床後や歩き始めに痛みがある
- 歩くときのリズムが変わった
- 階段を上がるときに脚の付け根が痛い
- 車の乗り降りがつらい
- 深いソファから立ち上がるのがつらい
- 靴下やズボンを履く動作がつらい
- 足の爪を切る姿勢がつらい
- あぐらがかきにくい
◾️脚の付け根の痛みに関連する筋肉
※トリガーポイントは筋肉のどの部位にも生じる可能性があるため、トリガーポイントの位置を「×」のように示していません。
膝の痛みに関連する筋肉
膝の痛みには、トリガーポイントが関係するものだけでなく、靭帯や半月板の損傷、感染症など医療機関での診断・治療が必要なものがあります。
その中でも、膝が急激に腫れて熱を持ち、発熱を伴う場合や歩けないほどの激しい痛みが現れた場合は、化膿性膝関節炎や痛風、偽痛風 などの可能性がありますので、整形外科などの医療機関を受診してください。
◾️画像上の異常(関節の変形)が、痛みの原因とは限りません
国際疼痛学会は「変形性膝関節症にみられる画像上の軟骨変性と、患者さんが感じる痛みとの関連は弱く、軟骨の変性がそのまま痛みを意味するわけではない」と説明しています。
そして、痛覚の過敏化、筋肉からの関連痛、睡眠状態、心理的要因、肥満や糖尿病など、複数の要因が痛みを強める可能性がある としています。
◾️膝の痛みとトリガーポイント
旅行などで普段よりたくさん歩いた、坂道や階段の上り・下りが増えた、運動や筋トレ(スクワットなど)を始めた、膝をぶつけたなどをきっかけに、脚の付け根や太もも、ふくらはぎなどのトリガーポイントや筋拘縮が生じることがあります。
トリガーポイントに関する研究では、変形性膝関節症の患者さんに「大腿四頭筋、ハムストリングス、大腿筋膜張筋、内転筋群、腓腹筋」などに、トリガーポイントが認められることが報告されています。
また、膝の痛みは、膝の内側に感じる方が多くみられますが、その際に確認する部位の一つが、膝の内側にある「鵞足(がそく)」と呼ばれる部分です。
鵞足とは、縫工筋・薄筋・半腱様筋という3つの筋肉の腱が、膝の内側に集まる部分です。
3本の腱が集まる形がガチョウの足に似ていることから「鵞足」と呼ばれています。
膝の内側に痛みがある場合、鵞足部に圧痛がみられたり、縫工筋・薄筋・半腱様筋などにトリガーポイントや筋拘縮を認めることがあります。
◾️膝の痛みに伴うさまざまな症状
- 階段の上り下りで膝が痛い
- 立ち上がり・歩き始めで膝が痛い
- しゃがむと膝が痛い
- 膝の内側・外側・お皿のまわりが痛い
- 夜、寝ているときも膝が痛むことがある
- 膝の裏が痛い・伸びきらない
◾️膝の痛みに関連する筋肉
※トリガーポイントは筋肉のどの部位にも生じる可能性があるため、トリガーポイントの位置を「×」のように示していません。
肘の痛みに関連する筋肉
肘の痛みの訴えの中で多いのが「テニス肘:上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)」です。
テニス肘は40〜50歳代に多く、テニスをしている人だけに起こるものではなく、テニスや他のスポーツをしない人にも生じます。
「◯◯炎」という病名から、肘に炎症が起きていると思われがちですが、国際疼痛学会では「数ヶ月以上続く慢性的なテニス肘では、強い炎症所見が認められず、コラーゲン線維の配列の乱れなどが中心となっている」としています。
また、「痛みに関連する化学物質の増加がみられることや、肘の痛み・握力の低下だけでなく、首や肩の痛みを伴うこともある」と説明しています。
慢性的なテニス肘では強い炎症所見が認められないため、腕をできるだけ使わないようにして炎症を抑える薬を服用しても、症状が改善しないケースがあります。
テニス肘には、手首や指を伸ばす筋肉(前腕の伸筋群)が深く関与しているため、肘関節を曲げ伸ばしするよりも、物を握る、持ち上げる、手首を反らすといった動作で痛みが誘発されるのが特徴です。
◾️心理・社会的な要因との関係
テニス肘の痛みにも、筋肉に加わる身体的な負担だけでなく、心理状態や生活環境も影響することがあります。
仕事や家庭での大きな心配事、対人関係のストレス、十分に休めない環境などが続くと、身体の緊張や睡眠、痛みの感じ方に影響し、症状が強くなったり、長引いたりすることがあります。
反対に、大きな心配事や対人関係の問題が解決したことをきっかけに、それまで続いていた痛みが急速に軽くなることがあります。
◾️テニス肘の痛みに伴う症状
- フタを開けるときに痛い
- ドアノブを回すと痛い
- フライパンや鍋を持ち上げると痛い
- タオルを絞ると痛い
- パソコン作業で肘が痛くなる
- 荷物を持つと肘の外側が痛い
- 握力が弱くなったように感じる
◾️テニス肘に関連する筋肉
※トリガーポイントは、筋肉のどの部位にも生じる可能性があるため、トリガーポイントの位置を「×」のように示していません。














