『筋膜ケア』 の 施術室 しまだ

そよ風 note

2023-10-13 12:00:00

椎間板ヘルニアとMRI

  

 

『MRIの出現により、脊椎の異常診断能力は向上した。只、無症候例に高頻度な形態学的異常も少なくないことも明らかになった。最近では腰痛出現後に撮影されたMRI所見が、腰痛を説明するような新たな所見である可能性は低いことが指摘されている。』

 

 

菊池臣一編著『腰痛 第2版』より IMG_4063.png(医学書院 2014)

 

 

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『椎間板ヘルニアが画像で認められても、それが必ずしも痛みを起こしているわけではないことが明らかになってきているのです。』

 

 

菊池臣一著『腰痛のナゼとナゾ』より IMG_4063.png(メディカルトリビューン 2011)

 

 

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『私は巨大なヘルニアを持っていますが、腰痛とは無縁の生活を送っているのです。私だけ特別に腰痛を起こさないわけではありません。』

 

 

菊池臣一著『腰痛のナゼとナゾ』より IMG_4063.png(メディカルトリビューン 2011)

 

 

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慢性腰痛も脚のしびれもない

しまだのMRI

 

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私もヘルニアを持っていますが、慢性腰痛ではありません。 

 

レントゲン同様、専門医にこの画像を見せても、腰痛と脚のしびれの有無はわかりません。

 

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For many years now, MRI scans have been the ultimate in futuristic medicine. But while these machines are miraculous in some ways, they can be worse than useless for diagnosing low back pain.

「MRIは未来の医療と言われて久しい。この機械はある意味では奇跡的なものですが、腰痛の診断には役に立たないこともあります。」

 

 

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Many people with no pain have all kinds of things “wrong” with their backs, and vice versa. Many problems revealed by scans that seem like “obvious” problems are not.And so the diagnosis and treatment often goes spinning off in the wrong direction.

「痛みのない人の中には、脊椎に様々な問題を抱えている人が多く、その逆もまた然りです。スキャンによって明らかになったことの多くは、一見「明らかな」問題のように見えますが、そうではありません。そのため、診断や治療が間違った方向に空回りしてしまうことが多いのです。」

 

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Fifty-six patients with uncomplicated lumbar disc prolapse were carefully assessed, finding almost no correlation at all between symptoms and the size and position of the bulge.

「合併症のない腰椎椎間板脱出(ヘルニア)の患者56人を注意深く評価したところ、症状と膨隆の大きさや位置との間にほとんど相関関係は見とれられませんでした。」

 

There is no direct correlation between the size or position of the disc prolapse and a patient's symptoms. The symptoms experienced by patients should be the primary concern in deciding to perform discectomy.

「椎間板脱出(ヘルニア)の大きさや位置と患者の症状には直接的な相関関係はありません。椎間板摘出術を行うかどうかは、患者が経験する症状を第一に考えるべきです。」

 

2023-10-12 21:00:00

心の痛みは本当に痛む

 

痛みとネガティブな感情は、深く絡み合っています。

 

私たちは、悲しいことや辛いこと(家族や仲間や恋人からの拒絶、別れなど)があった時、『心が痛む(傷ついた・折れた)』などと表現します。

 

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近年、脳内の活動をオンライン(f MRI)で解析することができるようになり、痛みと感情の関係(身体的な痛みと心の痛みのつながり)が明らかになりました。

 

たとえば、人間関係で人に拒絶された時に傷つきやすい人は、身体的な痛みについても 強く不快と評価する傾向がある そうです。

 

また、たとえ傷つきやすくない人でも、社会的な苦悩(人間関係の中で苦しみ悩むこと)を経験をすると、身体的な痛みに対する 不快な知覚が増す そうです。

 

説得力のある事実として、人間関係における拒絶(ゲームのメンバーから外されるといった軽度な排斥でも)と身体的な痛みとは、脳の中の同じ領域 が活性化します。

 

もっと強力な拒絶を用いた研究では、恋人と別れたばかりの人に元恋人の写真を見せると、脳の中の感情的な痛み領域だけでなく、感覚的な痛み領域も活性化することがわかりました。

 

Social rejection shares somatosensory representations with physical pain IMG_4063.png

『社会的拒絶は、身体的な痛みと体性感覚を共有する』

 

この研究は、2011年にミシガン大学がおこなったもので、NHKのヒューマニエンスという番組「"痛み"それは心の起源」でも紹介されていました。

 

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『心が痛む(傷ついた・折れた)』といった表現は、単なる言葉のあやではなく、現実的な比喩だったのです。

  

脳にとって『心の痛み』は『身体の痛み』と同じものなのです。

2023-10-10 06:00:00

『こころ』と『からだ』その③

 

『感情』は、自律神経と内分泌系と免疫系を介して、身体的な影響を現します。

 

その中でも、感情の影響が顕著に表れる神経系の反応は、前回に引き続き『筋肉の収縮』です。

 

不快な感情を抱くと、首や背中や腰など日常的によく使われる筋肉(特に大きな筋肉)が硬く緊張して痛みを感じさせます。

 

そして、血管や内臓の筋肉も同様に緊張します。

 

胃は、感情が身体に現れる代表的な臓器です。

 

私たちは、胃の具合によっても感情の動きを感じ取っています。

 

気分良く上手くいっている時は食欲満点ですが、気分悪く上手くいっていない時は食欲が減退します。

 

また、胃と同様感情の変化を起こしやすい臓器の一つが、長さ8メートルもある腸 (特に結腸)です。

 

『結腸はこころの鏡』

 

こころが緊張すると結腸も緊張すると言われています。

 

その結果起こる症状は、便秘や下痢です。

 

頭の内外の血管も感情の影響を受けやすく、多くの頭痛の原因になります。

2023-10-05 21:00:00

腰の痛みと背骨の変形

 

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供覧しているレントゲンは、慢性的な腰痛でお困りだった女性(69歳)の腰部です。

※ レントゲンは医師の協力により撮影されたものです。

 

ご夫婦でラーメン屋さんを営んでいるが、腰が痛くて立っているのが辛い』『立っていられなくなる』『仕事にならない』とのことだった

 

整形外科、整骨、鍼灸、整体、カイロ、マッサージなど 22ヶ所 に行ったが、期待する効果を得ることができず、私が「23ヶ所目だ」とおっしゃっていた。

 

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このレントゲン ① は、私が施術を開始した(腰がとても痛い)時のレントゲンです。

 

女性は『整形外科をいくつも行った(いつも同じ説明だった)ので覚えてしまった』と、以下のように私に説明してくれた。

 

:『背骨が変形して、棘のようになっている。』

 ○ 以外も同じように変形しています。これは「骨棘(こつきょく)」と言い、背骨や膝の関節にもよくある変形です。

 

↑:『椎間板が(2ヶ所)潰れている。』

※ これは「椎間板の狭小化」と言います。

 

そして。

 

『これは老化現象なので治らない。痛み止めを飲みながら、うまく付き合っていくしかない。』とのこと。

 

ところが。

 

施術を開始して23ヶ月ほどで改善が見られ、半年後には、ほぼ痛みなく1日立っていられるようになります。

 

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本題はここからです。

 

その後、痛みが落ち着いても定期的に施術を受けにいらしていたが

 

施術開始から1年後(腰痛をほぼ忘れた時)の写真が、こちら ② です。

 

      ⇓

 

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① と比べてみましょう。

 

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レントゲン ①(腰がとても痛い時  ②(腰痛をほぼ忘れた時)では、複数の医師から腰痛の原因と説明された、背骨の変形と椎間板の狭小化は全く変化(改善)していませんが、痛みは大きく変化(改善)しています。

 

1年経過しているので変形も進んでいるのかもしれませんが、たった1年では分かりません。

 

なぜなら、このような変形は、5年、10年、15年、20年・・・と時間をかけて、少しずつ変化していくからです。

 

この女性も、腰痛がなかった時でも、背骨の変形はすでに始まっていたはずです。

 

背骨と椎間板(特に腰椎)は、程度の差こそあれ、加齢とともに誰でも変形します。

 

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私も、ご多分に漏れず、背骨は変形し椎間板は狭小化しています。

 

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おまけに、その箇所はヘルニアですが、慢性腰痛も脚のしびれもありません。

 

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加齢による背骨の変形や椎間板の狭小化は、ぎっくり腰や慢性腰痛の原因ではありません。

 

慢性的な腰痛で困っていない方は病院を受診する(レントゲンを撮る)ことがないので、自分の背骨が変形していることを知りません。

 

中年期以降に腰のレントゲンを撮れば「誰でも、それなりの変形がみられる」ということです。

 

2023-10-05 13:00:00

『こころ』と『からだ』その②

 

身体は24時間止まることなく、私たちが寝ている間も身体を修正してくれています。

 

そのために可能な限り、全身のあらゆる『筋肉』を使っています。

 

首~肩のこりや腰痛などで現れる筋肉の緊張は、身体が修正をかけている結果、筋肉が正常に機能しているからこそ起こる現象でもあります。

 

筋肉の緊張は、身体が自らを保護したり調整している恩恵の証であって、決して「力ずくでその筋肉を揉みなさい」と言っている訳ではないのです。

 

身体からのメッセージを無視して「力ずくで揉んでしまったら」、身体はその刺激に(防御的)反応して、更に強く緊張してしまいます。

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