そよ風 note
腰痛にレントゲン検査が必要な時
ー 単純X線写真撮影の適用 ー
1.外傷後に高度な腰痛が発症
2.安静時における高度な腰痛や下肢痛
3.骨粗鬆症や転移性脊椎腫瘍などを疑わせる既往や症状を有るす場合
4.ステロイドの服用者、アルコール多飲者、および癌の既往例で、外傷がなく突然に下肢痛が発生した場合
5.撮影を希望する症例(過度に神経質な患者などでは単純X線撮影を行わないと、十分な診療を受けていないと誤解する可能性がある)
6.交通事故や労災で補償が関係している場合
7.強直性脊椎炎を疑わせる既往歴や理学的所見を有する症例(仙腸関節も撮影する)
8.脊椎所見から明かな脊椎変形が疑われる症例
9.高度な脊椎所見(著名な不撓性と可動域制限)や神経障害が認められる症例(転移性脊椎腫瘍を除外診断することが要求される)
10.原因不明の急激な体重減少
11.高い発熱(38℃以上)
◻︎ 参考文献 ◻︎
「腰痛」第2版 医学書院
危ない腰痛
危ない腰痛とは『重篤な疾患によって引き起こされた腰痛』です。
重篤な疾患とは、骨折や悪性腫瘍などの病状がいちじるしく重い『 F A C E T 』と呼ばれる疾患です。
重篤な疾患『 F A C E T 』と『 F A C E T 』の存在を示唆するサイン『レッド フラッグ 』を以下に示します。
『 F A C E T 』
F:Fracture|骨折
A:Aorta|大動脈解離・大動脈瘤破裂
C:Compression|脊髄圧迫症候群
E:Epidural abscess|硬膜外膿瘍・椎体炎
T:Tumor|腫瘍
『 レッド フラッグ 』
⚫︎ 馬尾(ばび)症候群の兆候 → C(脊髄圧迫症候群)
発症の確率は 0.04%(10,000人に4人)と言われています。
この症状の方が私のところに来られたことはありませんが、患者さんのご兄弟が馬尾症候群になったと聞いたことがあります。
ー 症状 ー
・膀胱直腸障害:「排尿したくても出ない(閉尿)または 自分の意思に反して、大・小便を漏らしてしまうことはありませんか?」
・サドル麻痺:「自転車に乗った時にサドルに当たる部分の感覚が麻痺していませんか?」
※ 馬尾症候群は上記の神経症状だけで、腰痛(痛み)を伴わないことがあります。
※ 馬尾症候群は『医学的緊急事態』ですので、緊急手術になることもあります。
⚫︎ 重大な外傷歴(全年齢が対象) → F(骨折)
高齢(骨粗鬆症)の方は、布団の上で尻餅をつくなどの軽微な外傷でも、背骨を圧迫骨折することがあるので注意が必要です。
尻餅をついてしばらく時間が経っても腰や背中の痛みが引かない時は、レントゲン検査を受けてください。
⚫︎ 安静にしていても軽快しない痛み → T(腫瘍) や E(硬膜外膿瘍・椎体炎)
「夜間の絶え間ない痛みや横になっていると痛みが悪化しませんか?」
がんや背骨(脊椎)の感染、内臓疾患の疑いもあります。
⚫︎ 胸背部痛 → A(大動脈解離・大動脈瘤破裂)
「胸(前側)に痛みはありませんか?」
大動脈の解離や瘤破裂、狭心症や心筋梗塞の疑いがあります。
⚫︎ がんの病歴や体重減少、食欲減退 → T (腫瘍)
「以前、がんになったことがありますか?」
「食欲はありますか(減っていませんか)?」
「体重が減っていませんか?」
(運動やダイエットをしていないのに、3ヶ月以内に体重が10%以上減っている)
がん(脊椎転移)の可能性もあります。
⚫︎ 長期間のステロイド剤(主に内服薬)の使用、免疫抑制剤の使用 → F(骨折) や E(硬膜外膿瘍・椎体炎)
ステロイド剤は骨粗鬆症になりやすいので「いつの間にか骨折(脊椎圧迫骨折)」を起こす可能性があります。
免疫抑制剤は免疫力を抑制する作用があるので、背骨(脊椎)に感染を生じる可能性があります。
⚫︎ 発熱 → T(腫瘍)
がんの患者さんは70%で発熱する(腫瘍熱)と言われています。
毎日、37.8℃以上の発熱がある、発熱が2週間以上続くなど
⚫︎ 20歳未満 または 55歳以上 → F A C E T すべて
上記のサイン『 レッド フラッグ 』があるときは、すぐに病院を受診してください。
ある医師(救急医)のブログには
・安静時痛の有無を重視している。
・ F A C E T のうち、A(大動脈解離や瘤)や E(腫瘍や椎体炎)であれば、安静時でも痛みがないということは考えにくい。
・安静時痛がある、という時点で筋骨格系の痛みと言えない可能性がある、何らかの画像検査をせざるを得ない状況だなと考えます。
と書いてありました。
膀胱がんによる腰痛
今から8年ほど前(山梨の施術室に)、膀胱がんによる腰痛の患者さん(60歳代・男性)が来られた。
男性は腰が痛いから横になっている・・・ということで奥様から
『主人の腰痛が(いくつか整形外科に行ったが)よくならないので、なんとかしてほしい』という連絡があり、すぐに来ていただいた。
入り口では前かがみの姿勢で入って来られ、施術室では膝に両手をついたまま座っているのも辛そうで、顔の汗が止まらなかった。
まさかと思いながらも話を伺うと『体重も落ちて食欲もない』『夜も痛くて眠れない』とのことだった。
(奥様から連絡をいただいた時に確認しなかったことを後悔する)
まさに『 レッド フラッグ 』です。
この腰痛は、私が施術することができない原因である可能性が高いので、すぐに総合病院へ行ってくださいと話し帰宅していただいた。
後日、奥様から『膀胱がんでした。そのまま入院しました』との連絡をいただいたが、医師からは『どうして、もっと早く来なかったんですか?!』と言われたとのこと。
でも、この男性は、腰が痛いから整形外科を受診したまでで・・・
膀胱がんで腰(骨盤内)に痛みを感じる時は、がんが進行していることが多いらしいです。
きっと、この男性もそうだったのでしょう。
その後しばらくして『無事退院した』との連絡をいただいき安心した。
腰痛患者さんの中でのがんの割合は、0.7%(1,000人に7人)程度と言われています。
程度は極めて低いですが、0%ではありません。
腰痛を引き起こす可能性があるのは、大腸がん、肝臓がん、膵臓がん、膀胱がんなどです。
また、乳がん、肺がん、前立腺がんなどは、背骨(脊椎)への転移を起こしやすいと言われています。
レッドフラッグ (危ない腰痛) が認められない時は
・レッドフラッグ(危ない腰痛)が認められない限り、腰痛発症後4〜6週間までの画像検査に臨床的メリットはない。
・放射線診断(エックス線とCTスキャン)には放射被曝に伴うリスクがあるため、診断と治療に不可欠な場合を除けば、避けるべきである。
・エックス線撮影やMRIなどの画像検査では、症状のない健常者の多くに異常所見が認められる。
・腰痛も坐骨神経痛も未経験の健常者における単純エックス線撮影では、50歳以上の65%に異常所見が認められ、MRIでは60歳未満の20%に椎間板ヘルニア、33%に椎間板異常が認められる。
・年齢と共に椎間板ヘルニアが見つかる頻度が高くなるため、手術を検討する際は、加齢に伴うMRI所見と臨床症状との関連性の確認が重要である。
◻︎文献◻︎
ニュージーランド事故補償公団(2010 Printed Japan)「急性腰痛と危険因子ガイド」 春秋社
友人がドラマに出演しています
友人の門島孝平さんが
ドラマ「俺のテントに誰かいる...!」に出演しています。
・毎週月曜日 22:30からJCOM(神奈川)にて放送
・毎週火曜日 17:00から公式YouTubeで配信
https://m.youtube.com/@oreten_drama
ぜひ、ご覧ください (^^)
↓
「第1話」 公式YouTubeでの配信
https://youtu.be/Be3Y4gtmPF4?si=gmjamo8-8f6Nni32
第1話では「釣り人役」(24:25〜)です。
門島さんいわく
『6話完結で、たまに出てきます』とのこと。
こちらもぜひ。
↓
門島孝平オフィシャルサイト