そよ風 note

2025-03-18 17:00:00

施術を受ける頻度と期間

 

施術の効果を十分に引き出すためには、ある程度の回数と時間をかけることが大切です。

 

 

◾️ 慢性的な症状がある方

 

・週2回のペースで1〜2ヶ月間

 

・週1回のペースで2〜4ヶ月間

 

⇨ 症状の重症度や生活習慣によって、適した頻度は異なります。

 

 

 

◾️ 比較的軽い症状の方

 

・症状が出ている期間が短い場合

 

・トリガーポイントの数が少ない場合

 

⇨ 数回〜5回程度の施術で改善することが多いです。

 

 

 

◾️ 長期間(数ヶ月〜数年)続いている症状の方

 

・トリガーポイントが数が多い、広範囲に及んでいる場合

 

・組織の癒着が強く、症状が複雑な場合

 

⇨ 数ヶ月にわたる継続的な施術が必要になることもあります。

 

 

症状の改善や回復のスピードには個人差があります。

 

2025-03-15 18:00:00

お一人おひとりの 『痛みストーリー』

 

慢性的な痛みでお困りの患者さんには、お一人おひとりの『痛みストーリー』があります。

 

 

『痛みストーリー』には『患』と『トリガーポイントを見つけるためのヒント』が隠されているので、はじめての方からは『痛みストーリー』をじっくりと聴かせていただきます。

 

 

痛みの当事者は患者さんですから、どんな時に、どこにどんな痛みを感じて、どれだけ辛いのかは、患者さんにしかわかりません。

 

 

そして、患者さんには患者さんの思いや考えもあります。

 

 

『こんなに話を聞いてもらったことはなかった』とおっしゃる方もいますが、患者さんが話したいことも話せなければ、不安や不満を抱えて帰宅することになり、施術の結果にも大きく影響することになります。

 

 

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患者さんの『患(かん)』を辞書で調べると『うれえる・心配・苦しみ』と書いてあります。

 

 

そして『うれえる』には ① 悪い状態になるのではないかと心配する。②(よくない状態を)嘆き悲しむ。と書いてあります。

 

 

『患』は『心』に『串』と書きます。

 

 

私は、『心の串』=『うれえる・心配・苦しみ』 だと思っているので、心の串を取り除くことも施術だと考えています。

 

 

心の串を吐露されて時には涙を流される方もいますが、おひとりさま対応だからこそ話していただけるのだと思います。

 

 

痛みは『感覚的な痛み(からだ)』と『情動的な痛み(心)』の二面性です。

2025-03-09 21:00:00

アルバート・シュバイツァー博士の言葉

 

シュバイツァー博士は、世界的なオルガン奏者であり、宗教家であり、アフリカの奥地で未開拓の医療に献身した医師です。

 

 

『We must all die. But that I can save him from days of torture, that is what I feel as my great and ever new privilege. Pain is a more terrible load of mankind than even death itself.』

 

『人は皆、必ず死ぬ。もし激しい苦痛の日々から患者を救うことができるなら、それは私にとって素晴らしい、そして常に新たな(医師としての)生き甲斐であると感じることである。痛みは、死そのもの以上に人類にとって耐え難い暴君である。』

 

 

痛みの恐ろしさを知り尽くし、痛みに悩まされる患者を心底思いやりながら取り扱ったシュバイツァー博士ならではの言葉と思います。

 

痛みは時として「死ぬ方がよほどましだ」と思わせるほど、人のいのちに重くのしかかり、押し潰そうとします。

 

医療者は「死」からだけではなく、「痛み」からも患者さんを救うべき存在であり、また救い得る存在であり、博士はそのことに大きな誇りを感じています。

 

医療者としての誇りと痛みに対する真実の表現であるこの言葉は、医療職にある者全てが銘記すべき言葉であると思っています。

 

 

 

熊澤孝朗先生の御著書「痛みを知る」より 

2025-03-08 18:00:00

Tさんが感じた 『いつもと違う頭痛』

 

先日、Tさん(50歳代・女性)が半年ぶりに来室された。

 

Tさんは、10年ほど前から(頭痛や首肩こりなどのために)定期的に施術を受けていただいている。

 

今回は少し間が空いていたので「去年の8月から、半年ぶりですね」と声をおかけすると

 

「実は … 」と

 

去年の10月に硬膜動静脈瘻 (こうまくどうじょうみゃくろう)』に対する手術を受けていたことを話していただいた。

 

  

『硬膜動静脈瘻は、脳を保護するように包んでいる硬膜に発生する動脈と静脈の異常短絡(動脈と静脈が毛細血管を介さずに直接繋がってしまう異常)を生じる比較的稀な疾患です。うっ血性静脈環流障害(静脈の流れが悪くなる状態)による脳障害や脳出血を生じます。』

ー 山梨大学医学部附属病院 脳神経外科のHPより 

 

 

Tさんからは『私の経験が何かお役に立てればうれしいです』と掲載の許可をいただいたので、Tさんが『いつもと違う頭痛』を感じた去年の8月から『硬膜動静脈瘻の診断 〜 手術 〜 現在』までをご紹介します。

 

頭痛持ちの方もそうではない方も、ぜひ参考にしてください。

 

 

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ー 2024年 8月 ー

 

Tさんが『いつもと違う頭痛』3回感じたのは、去年8月のお盆ウィーク

 

1回目『ガン・ガン・ガン』という『いつもと違う頭痛』を5分ほど感じた

 

2回目:1回目の頭痛から1〜2日後、前回同様の頭痛をより長く感じた。

 

3回目:3回目の頭痛はなかなか良くならず、1日ずっと痛かったので、かなり不安になった。

 

その後、すぐにかかりつけの頭痛外来を受診したが1回で終わっていたら、受診していなかったと思う』とおっしゃっていた。

 

頭痛外来でのMRI検査の結果、硬膜動静脈瘻を発症していることがわかり、大学病院を紹介される。

 

頭痛以外にはザ・ザ・ザ 』『血液が流れる音のような耳鳴り(右側)』を感じたそうだ。

 

硬膜動静脈瘻では、その部位、異常血管を流れる血液の量、異常血管が出ていく静脈洞の狭窄の有無などによって、症状が変わってきます。硬膜の動脈から静脈ないし静脈洞へ速い血流が流れるので、これが耳鳴りとして感じられることがあります。』

ー 慶應義塾大学病院 脳神経外科教室のHPより ー

 

 

ー 2024年 10月 ー

 

紹介先の大学病院でおこなわれた血管カテーテルの造影検査では、本来なら写ることのない静脈が写っていて、脳出血を起こしてもおかしくない状態だった。

 

そして、全身麻酔によるカテーテル(プラチナコイルを静脈に留置して閉塞させる)治療を受ける。

 

医師からは10時間かかるかもしれないと言われたが、6時間で無事終了する。

 

 

ー 術後3ヶ月の現在 ー

 

『ガン・ガン・ガン』の頭痛も『ザ・ザ・ザ』の耳鳴りもなく、カテーテルの検査でも問題なし。

 

 

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Tさんからお聞きした話では、年間300〜400人くらいの方が発症する稀な疾患で、50歳代の女性に多いとのことだった。

 

後天的だがはっきりとした原因はわからず、術後や外傷後に発症することがあるそうだ。(Tさんの発症原因もわからない)

  

そして。

 

Tさんが『いつもと違う頭痛』を感じることができたことと『リスクの高い検査と手術』を無事に終えることができたことについても、次のように話していただいた。

 

『いつもと違う頭痛を感じたのは、父の新盆だったんです。カテーテルの検査の日も、手術の日も、父の命日の24日という偶然でした』

 

『24という数字が父からのメッセージのような気がしました。父に助けられたのだと思います』

 

『これは、非科学的ですが、こういう不思議な世界もあるのかもな、と思います』

 

 

『硬膜動静脈瘻』という疾患を知らなかった私には、大変勉強になりました。

  

そして「偶然は必然」の意味が改めてよくわかりました。

 

貴重なお話を聞かせていただき、本当にありがとうございました。

 

 

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頭痛を表現する言葉で『いつもと違う頭痛』は『重大な(命に関わる)頭痛』である可能性が高いと言われています。

 

まさにTさんも『いつもと違う頭痛』だと感じたのです。

 

痛みの程度や感じ方は、ご本人にしかわかりません。

 

たとえ1回でも『いつもと違う頭痛』を感じたら『頭痛専門外来』または『脳神経外科』を受診してください。

 

 

『硬膜動静脈瘻』について詳しく知りたい方は、以下のHPをご覧ください。

 

山梨大学医学部附属病院 脳神経外科のHP

 

慶應義塾大学病院脳神経外科教室のHP  

2025-03-01 18:00:00

『キートリガーポイント』 ⇨ 『サテライトトリガーポイント』

 

トリガーポイントが形成された筋・筋膜には局所的に緊張が亢進した領域があり、そこを触診すると痛みを感じる『トリガーポイント』が見つかります。(時には口の中にもです)

 

ところが、トリガーポイントは患者さんが症状を感じる領域にあるとはかぎりません。

 

したがって、トリガーポイントを探す時には、患者さんが症状を感じている領域だけではなく、離れた領域(筋膜の連鎖)も考慮する必要があります。

 

 

最初のトリガーポイント『キートリガーポイント』に対して適切なケアを受けられないでいると、そのトリガーポイントがきっかけとなって、二次的に新たなトリガーポイント『サテライト(キートリガーポイントから離れたところにある)トリガーポイント』が形成されて新たな症状が現れてきます。

 

 

たとえば、『胸鎖乳突筋(首)』にキートリガーポイントが形成されると『側頭筋(頭)』『咬筋(頬)』『眼輪筋(目のまわり)』『前頭筋(額)』などにサテライトトリガーポイントが形成されます。

 

 

『キートリガーポイン』 ⇨ 『サテライトトリガーポイント』の症例として

 

 

『以前は 首・肩こり だけだったのに』 ⇨ 『最近は 頭痛(耳鳴り、めまい)も感じる』

 

 

『以前は 首・肩こり だけだったのに』 ⇨ 『最近は 腕も痛い

 

 

『以前は 腰痛 だけだったのに』 ⇨ 『最近は 脚の付け根や膝も痛い』

 

 

この傾向は、時間が経てば経つほど強くなります。

 

 

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サテライトトリガーポイントは、キートリガーポイントよりも新しいために症状が強く現れる傾向があるので、治療のポイントとして選択されやすいです。

 

しかし、サテライトトリガーポイントを治療して一時的に症状が軽減したとしても、キートリガーポイントを治療しなければ、症状の再発を繰り返してしまいます。

 

治療を受けていてもなかなか効果を得られなかったり、症状の再発を繰り返したりする場合は

 

 

・見当違いの治療がおこなわれている

 

たとえば、脚に現れた痛みやしびれを、坐骨神経痛(神経の圧迫による症状)と判断するか、トリガーポイントによる関連痛と判断するかでは、患者さんが受ける治療は異なります。

 

膝の痛みを関節の変形(軟骨のすり減り)、腰の痛みをヘルニアや狭窄症(背骨の変形・椎間板の変性)と判断されている時も同じです。

 

 

・サテライトトリガーポイントばかりを治療している

 

治療者がキートリガーポイントを探し出せていない。(見逃し・探索不十分)

 

可能性があります。

 

患者さんが症状を訴える領域(ほとんどの場合がサテライトトリガーポイント)に対する治療でも、一部(軽症)の患者さんは期待する結果を得ることができるかもしれませんが、症状が長期化(重症化)した患者さんは期待はずれの結果を得ることになってしまいます。

 

 

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慢性的な痛みでお困りの方には、今まで見つけてもらえなかったトリガーポイントがいるはずです。

  

 

施術中、私は患者さんと以下のような会話をします。

 

 

私:『〇〇さん、いましたね、ここに』

  『ここ痛くないですか?』

 

患者さん:『あー・・・はい、そこ痛いです』

 

 

トリガーポイントがより過敏化している場合は、身体が飛び上がる(ジャンプサインが現れる)ほどに痛いこともありますが、患者さん(脳)は、そこがそんなに痛いことを認識していません。

 

 

私:『では、こうすると(ズーンと)響く感じがしますか?』

 

患者さん:『あー・・・はい、(どこに)響く感じがします、けっこう痛いです・・・』

 

私:『では、ここいきますよ』

 

患者さん:『はい』 

 

 

このようなトリガーポイントほどキートリガーポイントの可能性が高く、多くの症例が改善につながります。

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