そよ風 note
その② 末梢神経の手術
除痛のために行う最も大きい手術は、椎間板ヘルニア除去術である。
一部の外科医たちは、椎骨の動きを制限するための骨移植を同時に行なっている。
椎間板ヘルニアの手術は70年以上もの間行われてきた。
もてはやされたこともあったが、疑問が増し続けている。
ヘルニアの突出と痛みはそれぞれ独立していて、痛みの発現における突出の役割ははっきりしない。
以前、この手術を熱烈に支持していたマイアミ大学は、今ではこの手術をやめて、厳密なリハビリテーションのプログラムを採用している。
またもや、手術が有効なのは、暗示によるものか、それとも痛みの明かな発生源部位組織の何か得意的な撹乱によるものか、全くはっきりしていない。
疼痛学序説 末梢神経の手術より
ひざの痛みとトリガーポイント
先日、右ひざの痛みを訴える65歳の女性が
杖をつきながらバスと電車を乗り継いで来られた。
右ひざは6ヶ月前から痛みはじめ、自宅近くの整形外科を受診したところ
『変形性ひざ関節症』と診断されたそうだ。
医師からは
「軟骨がすり減って関節が変形している」
「関節に注射をしましょう」
そして
「最終的には手術になるかもしれません」
とのこと。
女性は手術を受けたくなかったので
週に1回、痛い注射を(5回)受けながら処方された痛み止めも飲んだが
痛みが改善することはなかった。
その後
ある整骨院に20回ほど通ったが、こちらでも改善の兆しすら見えなかったとのこと。
※ この整骨院では「身体が歪んでいるから、背骨と骨盤の矯正をしなければいけない」「それには回数券がお得ですよ」と言われて20回分の回数券を購入したそうだ。
このままでは手術になってしまうのかと心配していたところ
『少し遠いけど行ってごらん 私の腰痛が治ったんだから きっと良くなるわよ』と
カラオケの仲間(私の患者さんだった方)が、紹介してくれたそうだ。
赤の丸印は、女性が痛いと訴えたところ
その他のラインは、ひざの痛みと歩行障害を引き起こしているトリガーポイントがあったエリア
『6ヶ月前は杖など必要なかったのに、今では杖なしでは歩けなくなってしまった…』と
とても辛そうだった。
痛みはじめ(半年前)はこんなに広い範囲ではなかったかもしれないが
トリガーポイントを誰にも見つけてもらえずに時間だけが経過した結果
痛み信号に反応した脳と脊髄からの繰り返される命令によって筋肉たちの緊張(こわばり)が強くなり
とうとう杖なしでは歩けなくなってしまったのだろう。
痛みやしびれが慢性化するしくみ:https://kinji-shimada.com/diary/75590
それぞれのトリガーポイントを探索すると
女性は『痛いです』『そこも痛いです』と教えてくれた。
すべてのトリガーポイントに対して
じっくり・じんわり マイオスライドリリース をおこなう。
しまだの施術:https://kinji-shimada.com/free/treatment
施術後は
『あれ?! あんまり痛くない』と杖をつかずに笑顔で帰られた。
その後は週に1回来ていただいたが、3回目で終了した。
この結果は
ひざの軟骨が再生して関節の変形が元に戻ったのではありません。
騒いでいた(活性化した)トリガーポイントたちが大人しくなって(不活性化して)
痛み信号が脳に届かなくなったのです。
脳に痛み信号が届かなくなれば、余計な筋肉の緊張(こわばり)は起こりません。
よって、痛みなくスムーズに歩ける・動けるようになるのです。
痛みやしびれが改善するしくみ:https://kinji-shimada.com/diary/75591
ー 知っておいていただきたいこと ー
・関節の軟骨には、痛みを感知するセンサーはありません。
・身体の歪み(左右非対称)は結果であって、原因ではありません。
・身体の歪みなどで、痛みを説明することはできません。
怒りは書いて捨てる
紙とともに去りぬ
〜 怒りを「書いて捨てる」と気持ちが鎮まることを実証 〜
名古屋大学大学院情報学研究科の川合伸幸教授、金谷悠太(研究当時:博士後期課程学生)らの研究グループは、怒りを抑制する方法を新たに発見しました。
https://www.nagoya-u.ac.jp/researchinfo/result/2024/04/post-649.html
【ポイント】
・怒りを抑制する新たな方法を発見・実証した。
・怒りを感じた状況をなるべく客観的に紙に書いて、その紙を捨てるか、※シュレッダーで裁断すると怒りが消失した。
・科学的な事実に基づいた怒り抑制方法として、簡便で効果的な手法を開発した。
◆ 詳細(プレスリリース本文)はこちら
※ シュレッダーのボックスは透明で、バラバラになっていく様子が見えるようにするとよいそうです。
ボックスが透明なシュレッダーを用意しました。
施術に来られた際、遠慮なくお使いください。
怒りを紙に書いてお持ちください。
筋膜を健康にする 『ビタミンC』
筋膜を不健康にするのは糖分の多い食べ物の摂りすぎだけではなく
筋膜を健康にするために不可欠な『ビタミンC』を摂らなさすぎでもあります。
ビタミンCは、コラーゲンを形成するのに不可欠です。
ビタミンCが足りないと、コラーゲンの生産ラインは停止してしまいます。
そして。
ビタミンCは、※骨格筋 の機能維持にも不可欠です。
※骨格筋:骨に沿って付いている筋肉。
骨格筋は、体を動かしたり姿勢を保ったりする際に使われる重要な筋肉です。
通常「筋肉」と呼ぶのはこの「骨格筋」で、およそ400種類の筋肉があります。
【掲載論文】
Vitamin C Is Essential for the Maintenance of Skeletal Muscle Functions
https://www.mdpi.com/2079-7737/11/7/955
ー この論文には以下のことも書かれていました ー
・ビタミンCは、骨格筋に多く存在し、筋肉と骨をつなぐ腱の主成分であるコラーゲン線維の構築に重要な役割を担っています。
・特に、骨と筋肉をつなぐ腱にはコラーゲンが多く含まれているため、ビタミンCが不足するとコラーゲン線維がもろくなり機能しなくなるため、骨格筋の萎縮や身体機能の低下につながります。
・ヒトの骨格筋は体重の約40%を占め、骨格筋には100gあたり3~4mgのビタミンCが含まれています。
・多くの ※脊椎動物 は、ビタミンCを合成する能力を持っていますが、ヒト、非ヒト霊長類(サルの一部)、モルモット、コウモリは、ビタミンCを合成する最後の酵素に複数の変異があるため、ビタミンCを合成することができません。
※脊椎動物:犬や猫、牛や豚、ライオンやゾウ、ニワトリやアヒルなどは、ブドウ糖からビタミンCをつくることができるそうです。
・ビタミンCは骨格筋の機能維持に不可欠であり、ビタミンCの補給不足によって一旦低下した骨格筋の機能も、ビタミンCを補給することで可逆的に回復することができます。
・※血漿中 のビタミンC濃度と運動機能の関係を調べるために、日本在住の高齢女性(70~84歳)957名を対象とした解析をおこなったところ、血漿中のビタミンC濃度と運動機能には相関が認められました。
※血漿(けっしょう):血液から血球(赤血球・白血球・血小板)成分を取り除いた、血液の約半分を占めるうす黄色の液体。
その結果、血漿中のビタミンC濃度は、被験者(検査される人)の筋力(握力)、バランス能力(目を開けて片足で立つ能力)、正常歩行速度と有意な相関があることがわかりました。つまり、血漿中のビタミンC濃度が高い女性ほど、筋力や身体能力が強い傾向にありました。
・ビタミンCの必要量に性差があることは今までの研究によって示唆されていましたが、若い女性のビタミンCの摂取量を1日90mgに増やすべきであり、男性のビタミンCの摂取量は1日75mgと推奨されています。
・ビタミンCは、筋萎縮の治療法として有用であると考えられます。
・加齢に伴う筋萎縮や身体機能の低下を防ぐには、1日に十分なビタミンCの摂取が必要です。
・一般的に成人(15歳以上)の推奨量は100mg /日 と設定されています。(が、実はこれでは足りないのです…)
・妊婦さんは+10mg、授乳婦さんは+45mg、喫煙者は+35mg とされています。
実際のビタミンC推奨量は、1,000mg 〜 5,000mg /日 と言われています。
ですが、2,000mg以上摂取すると、私のように下痢(ビタミンC過剰摂取による唯一の副作用)を起こす場合があるので注意してください。
私は1,000mgのサプリを、1個 /日 飲んでいます。
熱交換のための特殊な血管
寒い時
私たちは無意識に『手のひら』をストーブなどの熱源に向けます。
それは
手のひらには熱交換のための特殊な血管
『動静脈吻合(どうじょうみゃくふんごう):AVA(Arteriovenous Anastomoses)血管』があるからです。
心臓から送り出された血液は
動脈(太い血管)から毛細血管を経て
静脈を通って心臓に戻ってきますが
動脈が毛細血管に枝分かれする前に静脈と直接つながる
やや太い『動静脈吻合(AVA)血管』があります。
毛細血管の役割は酸素や栄養を細胞に運ぶことですが
AVAは『体温調整』が専門の血管で
栄養や酸素は運んでいません。
AVAは、手のひら、足では足裏と指、顔では耳やまぶたなどにしかありませんが
1㎠当たり100~600個存在します。
足の裏を冷やすと、体全体が冷えてしまいます。
お風呂上がりは、靴下などを履きましょう。
寒い時はAVA血管のある部位を温めて、暑い時は冷やしましょう。