そよ風 note
熱交換のための特殊な血管
寒い時
私たちは無意識に『手のひら』をストーブなどの熱源に向けます。
それは
手のひらには熱交換のための特殊な血管
『動静脈吻合(どうじょうみゃくふんごう):AVA(Arteriovenous Anastomoses)血管』があるからです。
心臓から送り出された血液は
動脈(太い血管)から毛細血管を経て
静脈を通って心臓に戻ってきますが
動脈が毛細血管に枝分かれする前に静脈と直接つながる
やや太い『動静脈吻合(AVA)血管』があります。
毛細血管の役割は酸素や栄養を細胞に運ぶことですが
AVAは『体温調整』が専門の血管で
栄養や酸素は運んでいません。
AVAは、手のひら、足では足裏と指、顔では耳やまぶたなどにしかありませんが
1㎠当たり100~600個存在します。
足の裏を冷やすと、体全体が冷えてしまいます。
お風呂上がりは、靴下などを履きましょう。
寒い時はAVA血管のある部位を温めて、暑い時は冷やしましょう。
筋膜を不健康にする悪者 その④『脱水』
『脱水』
運動は、筋膜に水分を送り込む最良の方法です。
そして、筋膜の健康を保つためには、たくさんの水分が必要です。
しかし、そもそも体内に十分な水分がなければ、筋膜に補給することはできません。
これまで、細胞への水分補給は血液とリンパ液を介しておこなわれると考えられていました。
ところが、フランスの形成外科医(手の外科医)である Jean - Claude Guimberteau(ジャン・クロード・ギンバルトー)医師が、生きた人間の皮膚の下に電子顕微鏡を入れたところ、筋膜はこれまで知られていなかった水分供給システムだったことがわかりました。
通常、筋膜は、ほとんどの水分を保持しています。
しかし、私たちが『隠れ脱水状態(点滴が必要になるような脱水ではありません)』にある時、まずは脳に栄養を与えるために、筋膜を含むどこからでも水分を取ろうとします。
その結果、筋膜に水分の低下が起こると毒素が蓄積し、本来洗い流されなければならない毒素のために、身体はこわばり、痛むのです。
冬は湿度も下がり、空気を乾燥させる暖房(エアコン)も欠かせないため
『隠れ脱水』にご注意ください。
参考文献「FREE YOUR FASCIA」
筋膜を不健康にする悪者 その③ 『糖質』
『糖質』
筋膜を不健康にする食べ物は、過剰に摂取した『糖質』です。
糖質は、体内でタンパク質と結合して『最終糖化産物:AGEs(Advanced Glycation End Products)』と呼ばれる老化物質になります。
AGEsは、筋膜のコラーゲンを架橋結合し(橋をかけたような形で結合する)、硬く変形させます。
そして、筋膜の場合は粘着性(ベタベタ)を増し、滑動性(自由にスライドする運動性)を低下させます。
参考文献には『老化を劇的に加速させる』とも書いてありました。
AGEsは体内で自然に生成されるものですが、筋膜を回復させるためにもっとも大切な第一歩は『砂糖の摂取量を大幅に減らすこと』です。
砂糖入りのコーヒーや糖分が含まれたジュース、ジャンクフード、ケーキやお菓子などは、できるだけ控えましょう。
私も、たまには「かりんとう饅頭」などを買ってしまいますが・・・
『毎日』甘いものを欲している人は要注意です。
怖いけど知りたい…! ジュースに含まれる砂糖の量一覧【管理栄養士執筆】
参考文献「FREE YOUR FASCIA」
筋膜を不健康にする悪者 その② 『けが』 『ストレス』 『使いすぎ』
『けが』
通常、筋膜は回復力が非常に高いので、小さなケガはあまり大きな問題にはなりません。
しかし、骨折や手術などは筋膜のトラブルにつながる可能性があります。
なぜなら、傷ついたコラーゲンは、その部位を修復しようとして、もつれたり交差したりしながら成長していくからです。
その結果、筋膜に癒着が形成され、徐々に酸欠になって痛み物質が産生され『トリガーポイント』が出来上がります。
筋膜は、フィットしたベッドシーツのようなものです。
したがって、筋膜のある部位を傷つけると、その障害を補うために他の部位を別の方法で動かしたりするようになります。
その部位だけでなく離れた部位にも痛みやしびれ、脱力感が現れることがあります。
この状態が長引けば長引くほど、それを代償するようになり、身体のあちこちに症状(痛みや運動制限)が現れるようになります。
『最初は肩こりだけだったのに、だんだんと腰や膝も痛みはじめ、いつしか腕もしびれてきた… 』
『ストレス』
ストレスは筋膜を硬くして、筋膜が硬くなるとストレスも増加します。
この悪循環に多くの人が陥っていると言われています。
患者さんと接していると、ストレスが筋膜に及ぼす影響がはっきりわかる部位があります。
それは『 顔 』『 首 』『 顎(頬)』『 お腹 』です。
これらは姿勢にも現れ、組織の硬さ、抵抗、制限という形で感じることができます。
『使いすぎ』
筋膜の潤いと健康を保つには、動くことがとても大切です。
しかし、同じ動作をなんども繰り返すこと(使いすぎ)は、筋膜のトラブルにつながる可能性があります。
使いすぎは動くことだけではなく、動かない(長い時間同じ姿勢でいる)ことも同じ意味になります。
参考文献「FREE YOUR FASCIA」
筋膜を不健康にする悪者 その① 『運動不足』
健康な筋膜には、制限のない滑りながら動く運動性があります。
そのおかげで、私たちは痛みなく自由に動くことができています。
しかし、筋膜が不健康になる(滑りながら動く運動性が制限される)と、痛みや運動制限を伴うようになります。
知らず知らずのうちに筋膜を不健康にする『悪者リスト』をご紹介します。
その① 『運動不足』
その①『運動不足(動きが少ない)』
私たちの祖先は毎日何時間も歩いたり走ったり、物を持ち上げたり投げたり、体を曲げたり伸ばしたりしていました。
ところが、現代のほとんどの人は毎日何時間もパソコンの前に座り、毎日同じような限られた動作を繰り返しています。
残念なことに、筋膜ほど『使うか、失うか』という決まり文句が当てはまるものはありません。
なぜなら、筋膜は動かないと乾燥して硬くなり、ベタついてしまうからです。
運動不足は筋膜を不健康にするリストの第1位であり、筋膜にとっては最悪の事態なのです。
2002年におこなわれた、ラットの体の一部を3週間固定した研究の結果は衝撃的でした。
筋膜の綺麗な網目は、太くもつれて艶がなくなり、コラーゲン線維があらゆる方向に過剰に走っていました。
<電子顕微鏡写真>
Daniel Fenster(2020)『Free Your Fascia』Hay House Inc
A:固定する前のコラーゲン構造
B:3週間固定した後に撮影した同じ領域(コラーゲン線維の変化と崩壊が起こっている)
コラーゲン線維は、適切な刺激がなければ「きれいな庭」ではなく「雑草」のように成長します。
教訓 ①
「運動は化粧水」であり、毎日さまざまな方向に動く必要があります。
教訓 ②
運動した後は、水分の補給と休息が必要です。
定期的に身体を動かしていると、筋膜にかかる圧力によって水分が吸い上げられます。
そして、筋膜を休めると新鮮な水分が筋膜に送り込まれます。
この『運動と休息のサイクル』が、筋膜をリフレッシュさせて滑りやすさを保つ秘訣です。
【 運動する時のヒント】
① 可動域(動かせる範囲)をフルに使いましょう!
② 色々な運動を混ぜましょう!(歩行とラジオ体操など)
③ 左右を同じように、ゆっくり大きく動かしましょう!
※ 筋トレやランニングなどの激しい運動は必要ありません。
参考文献「FREE YOUR FASCIA」