『筋膜ケア』 の 施術室 しまだ

そよ風 note

2023-10-31 21:00:00

筋膜は『スーパーマン』

 

海外の筋膜の専門家は、筋膜を『スーパーマン』に例えます。

 

一見、ただのクラーク・ケントかと思いきや、その役割が『スーパーヒーロー』だからです。

 

実際、筋膜は単なる「梱包材」ではなく、心臓や脳、肺と同じくらい大きな役割を果たしています。

 

 

<筋膜の8つの大きな役割>

 

 

 

その①:身体の各部分が、互いの上下を、そして周りを滑ることができる。

 

歩いたり、走ったり、あらゆる運動をするとき、スムーズに動けるのはなぜでしょうか?

 

それは、動くときに筋膜の層が滑るからです。

 

実際、筋膜が健康であれば、その長さの75パーセントまで滑ることができますが、筋膜が健康でなければ、滑りが悪く(スムーズに動けなく)なってしまいます。

 

 

 

その②:すべてのものを所定の位置に固定する。

 

筋膜は、臓器、骨、筋肉、血管などを固定して、あるべき場所にとどまらせます。

 

もし筋膜がなかったら、206個の骨はただの骨の山になり、臓器は無差別に集まることになります。

 

 

 

その③:水分を保持し、移動させる。

 

筋膜が水を蓄え、全身に運んでいます。

 

蜘蛛の巣を伝う露のように、筋膜のコラーゲンを水滴が伝っています。

 

 

 

その④体全体の通信ネットワーク。

 

筋膜は、身体のあらゆる部位に、あなたの位置や動き、体内環境に関する情報を常に送っています。

 

筋膜には筋肉の10倍以上の感覚神経終末(痛みを感じるセンサーなど)があり、身体で最も強力な感覚器官のひとつです。

 

 

 

その⑤身体のあらゆる部分と他のあらゆる部分をつないでいる。

 

筋膜をフィットしたベッドシーツに見立ててください。

 

シーツの片隅を引っ張ると、シーツのあらゆる部分が動きます。

 

たとえば私たちの身体では、足首を動かすと、太ももの裏側にある筋膜が滑ることがわかっています。

 

また、脚を伸ばすと、首の筋膜に影響を与え、首を動かす能力が高まります。

 

※ 私が『身体全体』を触診するのは、このような筋膜の繋がり(筋膜連鎖)の影響を確認するためです。

 

 

 

その⑥:『テンセグリティー』を生み出す。

 

宇宙飛行士が重力のない宇宙空間で逆さまになっても、骨や内臓がずれないのはなぜでしょうか?

 

それは、人体が『テンセグリティー』構造だからです。

 

 

テンセグリティー その① IMG_4061.png

 

 

テンセグリティーは、内部で(圧縮)力を発生させて、すべてを所定の位置に吊り下げます。

 

事実上、骨や内臓などは筋膜の中で浮いているのです。

 

骨、臓器、筋肉は、筋膜によって固定されていて、筋膜は身体の内部を支えるインフラとして機能しています。

 

筋膜は、私たちの身体に加わった物理的なストレスを吸収して、身体全体に分散させています。

 

 

 

その⑦:リンパの流れを促進する。

 

リンパ系は、全身に ※ 約20万キロ も張り巡らされた管で構成されています。

 

※ 血管の2倍、地球5周分の長さです。心臓から出た血液は約30秒ほどで全身を駆け巡りますが、リンパは8〜12時間かけて全身を1周します。

 

これらの管は、組織からリンパ節へと体液(リンパ)を運び、リンパ節ではリンパから毒素、バクテリア、がん細胞、その他の「ゴミ」をろ過し、浄化された体液を血流へと送り返します。

 

筋膜は、あなたが動くときに、リンパをこのシステムに押し流すことで役立っています。

 

つまり、筋膜が健康であればあるほど、リンパ系の働きは良くなるのです。

 

 

 

その⑧:ストレスに反応する。

 

筋膜は、感情的なストレスによって収縮します。

 

そのストレスが筋膜に及ぼす影響がはっきり現れるのは『顔・首・顎・お腹』です。

 

その結果は『表情や姿勢』に現れ、『肩こり、頭痛、腰痛、顎関節症』などの症状を自覚します。

 

そして。

 

姿勢と筋膜 IMG_4061.png に繋がります。

 

 

私が『顔・首・顎・お腹』を触診するのは、この影響を確認するためです。

 

 

IMG_3377.jpeg

 

 

現在、世界中の何千人もの医師やセラピストが、痛みを和らげ、パフォーマンスを高め、生活を向上させるために筋膜をターゲットにしています。

 

筋膜は、身体のあらゆる部分とつながり、相互作用しています。

 

したがって、筋膜を治療することは、他の構造にも影響を与えることになるのです。   

2023-10-21 18:00:00

姿勢と筋膜

 

IMG_4089.jpeg

 

肩こりや腰痛をはじめ慢性的な痛みでお困りの方は、① のような(顎を引いて胸を張った)姿勢を取るのがキツくなってきます。

 

気がつくと、② のような(頭・顎が前に出た前傾)姿勢になっています。 

 

時には ② のような姿勢を取っても問題ありませんが、① の姿勢がキツくなってくると少々問題です。

 

 

IMG_3377.jpeg

 IMG_4086.png

 

ところで。

 

スピードスケートの選手が着るウェアは、滑走中の前傾姿勢でジャストフィットするように設計されているため、真っ直ぐに起き上がると突っ張るようにできているそうです。(ゴール後、すぐに頭の部分を脱ぐのは真っ直ぐに起き上がるためだそうです)

 

慢性的な痛みや猫背のような姿勢がなかなか改善しない一因は、ボディスーツである筋膜が『スピードスケートのウェアのように前傾姿勢を保ってしまっているから』なのです。

 

身体のあちこちに発生した筋膜の問題を見逃すと、痛みも猫背もいつまでも変わらないばかりか、その姿勢に順応するように股関節や膝関節も軽く曲がった(完全に伸びきらない)状態になっていきます。

 

このイラストでも、① は ② に比べ、股関節と膝は軽く曲がっています。

 

 

IMG_4092.jpeg

 

 

このまま放置すると、脚の付け根や膝まわりにも痛みを感じやすくなってしまいます。(その逆も然りです)

 

※ これまでにもたくさんの『膝(脚)』をみてきましたが、右の膝が軽く曲がっている(完全に伸び切らない)方がとても多いです。(症状や利手に関わらずほぼ右脚なのですが、なぜ右なのかはわかりません)

 

 

IMG_3377.jpeg

 

 

私たちの身体も、スピードスケートのウェアのように全身が筋膜で繋がっています。

 

そして。

 

ウェアの頭の部分を脱ぐと起き上がりやすくなるのと同じように、私たちの身体でも、ある部位の柔軟性や可動性が回復すると、その影響を受けていた離れた部位の状態も改善します。

 

これが、筋膜の連鎖(繋がり)です。

 

 

IMG_4089.jpeg

 

 

姿勢は結果であって原因ではありませんが、『どこに筋膜の問題がありますよ』と教えてくれます。

 

① のような姿勢がキツくない方でも肩こりや腰痛になることはありますが、② の方に比べれば、トリガーポイントの数は少なく施術する範囲も狭いでしょう。

 

 

2023-10-13 12:00:00

腰痛とレントゲン その①

  

『単純X線写真は、外来診療で最も用いられている画像である。しかし、単純X線写真は、非特異的腰痛の診断にはほとんど意味がない。現時点での退行性変性の診断における単純X線撮影の位置付けは限定的なもので、感染症疾患などを含む脊椎炎、骨折、あるいは腫瘍のような重篤な病態を否定するためにあると言ってよい。』

 

菊池臣一編著『腰痛 第2版』より IMG_4063.png (医学書院 2014)

 

IMG_3377.jpeg

 

慢性腰痛のない

しまだのレントゲン

 

腰は右凸側弯して、骨盤は左右の高さも違います。

しまだ腰椎.png

 

 

腰の骨は変形して、椎間板も狭くなっています。

しまだ腰椎2.png

 

 

私の腰椎には退行性変性(背骨の変形や椎間板の狭まり)がみられますが、慢性腰痛ではありません。

 

このような変性は、腰痛のない人にも普通にみられます。

 

腰痛の方に限った所見(腰痛の原因)ではありません。

 

IMG_3377.jpeg

 

レントゲン撮影は、腰痛の診断にはほとんど意味がありませんが、骨折や癌などの重篤な疾患はないと安心できる大きな意味があります。

 

以下のような重篤な疾患を示唆する症状が1つでもある時は、レントゲン撮影が必要です。

 

すぐに病院を受診してください。

 

・外傷後に発生した激しい腰痛(高所からの落下、尻餅など)

・夜間や横になっていても続く激しい腰痛

・ステロイドの服用者、癌の病歴

・原因不明の体重減少

・高い発熱(38℃以上)

・血尿 

以下はごく稀です。この症状は「痛み」ではなく「神経の麻痺」です。

・閉尿、便失禁

・歩行困難、お尻(肛門)周りの麻痺

 

IMG_3377.jpeg

  

腰痛とレントゲン その IMG_4061.png

2023-10-13 12:00:00

腰痛とレントゲン その②

  

『痛い人、痛くない人、1000人のレントゲン写真を撮って専門医に見せたとしても、この人には痛みがある、この人にはない、ということはわかりません。』

 

北原雅樹著『日本の腰痛 誤診確率80%』より IMG_4063.png(集英社インターナショナル 2018)

 

IMG_3377.jpeg

  

人それぞれの腰椎

 

腰椎と骨盤.jpg 

 

老若男女、人それぞれの腰椎が写っています。

 

この中には、腰痛の方も腰痛ではない方もいますが、どなたが腰痛なのかは(ご本人と私以外)誰にもわかりません。

 

*圧迫骨折の方もいますが、陳旧性の(古い)もので痛みはありません。

 

この写真を専門医に見てもらっても、この中で誰が腰痛なのかはわからないのです。

 

IMG_3377.jpeg

 

椎間板ヘルニアとMRI IMG_4061.png 

2023-10-13 12:00:00

椎間板ヘルニアとMRI

  

 

『MRIの出現により、脊椎の異常診断能力は向上した。只、無症候例に高頻度な形態学的異常も少なくないことも明らかになった。最近では腰痛出現後に撮影されたMRI所見が、腰痛を説明するような新たな所見である可能性は低いことが指摘されている。』

 

 

菊池臣一編著『腰痛 第2版』より IMG_4063.png(医学書院 2014)

 

 

IMG_3377.jpeg

 

 

『椎間板ヘルニアが画像で認められても、それが必ずしも痛みを起こしているわけではないことが明らかになってきているのです。』

 

 

菊池臣一著『腰痛のナゼとナゾ』より IMG_4063.png(メディカルトリビューン 2011)

 

 

IMG_3377.jpeg

 

 

『私は巨大なヘルニアを持っていますが、腰痛とは無縁の生活を送っているのです。私だけ特別に腰痛を起こさないわけではありません。』

 

 

菊池臣一著『腰痛のナゼとナゾ』より IMG_4063.png(メディカルトリビューン 2011)

 

 

IMG_3377.jpeg

 

 

慢性腰痛も脚のしびれもない

しまだのMRI

 

55899D2B-D3FF-4DBC-85EA-86264F88D4CF.jpeg

 

 

私もヘルニアを持っていますが、慢性腰痛ではありません。 

 

レントゲン同様、専門医にこの画像を見せても、腰痛と脚のしびれの有無はわかりません。

 

IMG_3377.jpeg

 

For many years now, MRI scans have been the ultimate in futuristic medicine. But while these machines are miraculous in some ways, they can be worse than useless for diagnosing low back pain.

「MRIは未来の医療と言われて久しい。この機械はある意味では奇跡的なものですが、腰痛の診断には役に立たないこともあります。」

 

 

IMG_3377.jpeg 

 

Many people with no pain have all kinds of things “wrong” with their backs, and vice versa. Many problems revealed by scans that seem like “obvious” problems are not.And so the diagnosis and treatment often goes spinning off in the wrong direction.

「痛みのない人の中には、脊椎に様々な問題を抱えている人が多く、その逆もまた然りです。スキャンによって明らかになったことの多くは、一見「明らかな」問題のように見えますが、そうではありません。そのため、診断や治療が間違った方向に空回りしてしまうことが多いのです。」

 

IMG_3377.jpeg

 

Fifty-six patients with uncomplicated lumbar disc prolapse were carefully assessed, finding almost no correlation at all between symptoms and the size and position of the bulge.

「合併症のない腰椎椎間板脱出(ヘルニア)の患者56人を注意深く評価したところ、症状と膨隆の大きさや位置との間にほとんど相関関係は見られませんでした。」

 

There is no direct correlation between the size or position of the disc prolapse and a patient's symptoms. The symptoms experienced by patients should be the primary concern in deciding to perform discectomy.

「椎間板脱出(ヘルニア)の大きさや位置と患者の症状には直接的な相関関係はありません。椎間板摘出術を行うかどうかは、患者が経験する症状を第一に考えるべきです。」

 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 ...