そよ風 note
坐骨神経痛とトリガーポイント その②
前回の施術( 坐骨神経痛とトリガーポイント その① )から1週間後(2回目)の昨日。
女性は
『足を引きずらずに歩けるようになって、夜も布団で眠れるようになりました。』
『痛みも大した痛みではありませんでした。』と笑顔で報告してくれた。
そして、一緒に来られているお姉さんは
『今までは足を引きずりながら私の後ろを歩いていたのに、今日は私の前をスタスタ歩いているんです。』
『びっくりしました。』と話してくれた。
まずは、この女性が進むべき方向へ導くことができてよかった。
今までは進んではいけない方向へ導かれていたので、あのままではとんでもないことになっていただろう・・・
この女性の症状が本当に神経が障害されたことによるもの(本物の神経障害性疼痛)なら、このような結果が出るはずがない。
この結果からも、この女性の「坐骨神経痛」は本物の神経障害性疼痛ではないことがはっきりした。
これから多少の波はあるかもしれないが、トリガーポイントをじっくりと鎮静化していくだけだ。
牽引療法には効果がない?
『腰痛のナゼとナゾ』 菊池臣一著 より
牽引療法とは脊椎を上下にひっぱり、腰椎の圧迫を軽くして腰痛を軽減する目的で行われるもので、牽引することで腰部の安静や異常な筋肉緊張の軽減、椎間板内圧の減少などが得られると考えられてきました。
現在も、整形外科医院や接骨院などで、脊椎の病気に対する局所の安静などを目的に、日常的な診療プログラムのなかに牽引療法を組み込んでいるところが多くみられます。
私も以前は入院患者さんに、治療を受けているという意識を持ってもらうために使用していたことがありました。
しかし、外来にこられる患者さんには使用していません。
その理由は、15〜20分ほどの牽引療法を受けるために、往復1時間以上もかけて通院するなら、その時間を腰痛の軽減に効果があるとされる日常的な仕事や家事、あるいは運動にあてたほうがよいのではないかと考えたからです。
しかし、これだけ普及しているにもかかわらず、牽引療法が腰痛や坐骨神経痛に有効であるという科学的な根拠は報告されていません。
逆に、イギリスの腰痛ガイドラインでは「牽引療法に関しては、治療効果がないことが証明されている」と明言しています。
さらに、牽引療法を行いながら安静に寝ていると、関節のこわばり、筋肉の萎縮、骨密度の低下などの危険があるので、腰痛の患者さんには用いるべきではないと言及しています。
単純に考えても、腰の椎間板の変性によって低くなった身長を元の状態に戻そうとしたり、腰椎の彎曲したカーブの度合いを改善したりするためには相当な力が必要になるでしょう。
牽引によりかえって腰痛を悪化させる可能性も否定できません。
患者さん本人が牽引後に気持ちよく感じられるのであればよろしいのですが、効果が認められないと実感されたときは、漫然と続けていないで他の療法に切り替えたほうがよいでしょう。
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腰痛の治療に関与している専門家で、骨盤牽引が治療手段として真に有効であると思っている人は、あまりいないのではないでしょうか。
『続・腰痛をめぐる常識のウソ』 菊池臣一著 より
本物の神経障害
本物の神経障害は、日内変動がなく、神経の機能低下(運動神経なら麻痺、感覚神経なら感覚低下)による症状は、完全に持続性です。
麻痺とは、神経が何らかの原因で正常に機能していない状態です。
自分の思うように手足などを動かすことができず、触れても針で突いても知覚が鈍いか感覚がない状態です。
熱い冷たいの感覚も、痛みもしびれもありません。
そして、症状の強さは常に同じで、強弱がなく、波もなく、緩解(軽減または消失する)することはありません。
それに対して、症状の強さが常に同じではなく、強弱があり、波もあり、緩解(軽減または消失する)ことがある『いわゆる坐骨神経痛』は、本物の神経障害ではありません。
坐骨神経痛とトリガーポイント その①
先日、右脚の付け根とひざの痛みを訴える女性が青梅市から来られた。
痛みの始まりは去年の1月
ある日突然、右脚の付け根が痛くなり歩けなくなってしまったそうだ。
自宅近くの整形外科を受診すると、レントゲンとMRIの結果から
『変形性脊椎症』
『腰椎滑り症』
『脊柱管狭窄症』
などの影響(圧迫)による『坐骨神経痛』
と言われたそうだ。
あれから1年半、処方された薬を毎日欠かさず飲みながら、物理療法にも週に3回通っているが
足をひきずらないと歩けなくなり
階段は上れなくなる
布団に寝る時平らに寝られなく
椅子に寝ている状態
とのこと(問診票そのまま)だった。
ー 処方された薬 ー
・タ◯ージェ(神経障害性疼痛の薬)
・セレ◯キシブ(非ステロイド抗炎症薬)
・ファモチジン(胃酸の分泌を抑える薬)
ー 物理療法の内容 ー
・牽引
・ウォーターベッド
・膝への超音波
月に一度の診察では
「まだ痛いですか?」と顔も見ずに聞かれ
「まだ痛いです」と答えると
薬の量(mg)が増えても痛みが軽減することはなく
今年に入ってからは、同じ質問に対して同じように答えると
「もっときつい薬を出しましょうか?」
「最終的には手術しかありませんので」
と言われるようになったそうだ。
まずは『変形性脊椎症』『腰椎滑り症』『脊柱管狭窄症』などは無害の結果であること
『いわゆる坐骨神経痛』は本物の神経痛ではないことをたくさんの資料を使って説明する。
そして、トリガーポイントを探しながら、膝や股関節の可動域(動き)を調べていると、身体のあちこちがそんなに痛いことも股関節がこんなに動かないことも知らなかった、とのことだった。
すべてのトリガーポイントに対して、じっくり・じんわり マイオスライドリリース をおこなって初回を終了する。
しまだの施術:https://kinji-shimada.com/free/treatment
筋膜における 『クリープ』
筋膜は『クリープ(ゆっくり動く)』という性質を持っています。
筋膜における『クリープ』とは、負荷のかかった状態では時間の経過とともに形を変えていく性質ですが、筋膜が正常であれば、負荷が取り除かれると元の形に戻ります。
ところが、加齢とともに毎日同じ姿勢を続けたり(デスクワークなど)、同じ動作を繰り返したり(オーバーユース)すると筋膜がそれに順応するように時間をかけて変形して、元の形に戻りにくくなってしまいます。
このような状態になると、筋膜は厚みを増し、滑走性(滑り)が低下します。
これが『筋膜が癒着した状態(タンパク質の増殖)』であり、ここに『トリガーポイント』が形成されます。
筋膜には痛み信号を発信するするセンサー(痛みセンサー)が豊富にあるため、痛みセンサーが発痛物質を感知すると、痛み信号が脳に送られて『痛い…』と感じるのです。
慢性的な腰痛がある人は、腰痛がない人と比べて腰の筋膜(胸腰筋膜)が約25%厚くなり、筋膜の滑走性(滑り)が低下することがわかっています。